中央水研ニュースNo.31(2003...平成15年3月発行)掲載

【情報の発信と交流】
魚のおいしさと安全を科学する
-一般公開(横浜庁舎)報告-
吉田  大

 例年秋に実施している横浜庁舎一般公開を今年度は10月27日(日)に行いました。当所では一般公開を日頃の研究活動の成果を国民にわかりやすく還元すると共に,次代の後継者たる子ども達に日頃の研究活動を広く知らせ,科学に興味にもってもらう場と位置づけています。
 今回は利用化学部,加工流通部および経営経済部が中心となり,「魚食文化の大切さ」との視点から魚の美味しさの秘密と,最近話題となった食品表示や安全性に焦点をあて「魚のおいしさと安全を科学する」とテーマを設定しました。これに基づいて,講演会,体験実験やパネルの展示などを行いました。また,当所の活動を知っていただくために,調査船(蒼鷹丸:892トン)見学,衛星画像受信システムの公開などを行いました。
 今回は,約700名の来場者があり,長時間にわたってじっくりと見学される方々が多い傾向が見られました。当日来訪者を対象に行ったアンケートには,「また来たい」という一般の方の意見や「子供がよろこんだ」という父兄からの意見が多かったことが印象に残りました。
 当日の雰囲気を理解いただくために(1)テーマに沿った展示・体験学習および講演会,(2)研究所の業務等,(3)その他の順で写真と併せて紹介します。なお,平成15年度も同じ時期に開催を予定しています。
(企画連絡室 情報係長)

(1)テーマに沿った展示・体験学習および講演会

講演の様子
テーマ「魚のおいしさと安全を科学する」にそった下記の3演題を職員が講演しました。それぞれの講演で用意した席が埋まる程多くの方が参加され,食に関する関心の高さが窺われました.
魚や海藻を食べると健康になるってほんとう?:村田昌一
カキ -おいしさと安心-:矢野 豊
水産系廃棄物のリサイクル率向上をめざして:田坂行男

水産物の食べ比べ
サバの鮮魚と解凍魚の違い,産地による味の違いなど,単品では分かりにくい水産物を並べて展示して判断できる例を示したり,外見ではわからない場合にはDNA鑑定を行うことで,遺伝子の違いを検出して魚種を判別する技術を紹介しました。

体験実験の様子
「エビやアオサの色素を実際に分離する実験」,「炎で成分を判別する実験」,「寒天培地に乳酸菌で絵を描いて,「明日,絵が浮かび上がるのを楽しみに,持って帰って」という無菌操作の実験」,「アオサを添加した紙の作成」など種々の体験実験にも多くの親子が参加されました.

製造実験室:竹輪作りの様子
来場者のうち,200人近くが竹輪作りを体験され,作ったチクワを試食していただきました。「焼きたてのちくわが,これほどおいしい物とは思わなかった」との感想があちこちで聞かれました.

(2)研究所の業務等

蒼鷹丸の公開(各種装置の説明)
各種装置を乗組員がわかりやすく説明しました.

蒼鷹丸の公開(ロープワーク教室)
ロープワーク教室では「去年のものを教えて」という声もありました.

衛星データ受信システムの説明
衛星からのデータを受信して,海面の水温等をリアルタイム(即時)表示し,これらを用いた研究成果をパネルで展示するなどの研究も紹介しました.

(3)その他

ミニ水族館

タッチプール
地元の魚介類を展示しました.親子で海の小動物を観察したり実際に触れたりする姿がよく見られました。また,始めて動く魚を見た方も多かったようです.

6F休憩・パネル展示コーナー
当日は晴天にも恵まれ,東京湾と対岸の房総半島の様子が一目でわかるほどでした。なお,このコーナーには,日本や世界の水産業の説明パネルがおかれました.

Dai Yoshida
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