所長あいさつ
国立研究開発法人水産研究・教育機構
中央水産研究所長 錢谷 弘
中央水産研究所は、横浜市南部の海沿いにある金沢バイオパークと呼ばれる一帯に位置しており、周辺には横浜市漁業協同組合の柴漁港、人気水族館を抱える横浜・八景島などがあります。
当所の所属する旧水産総合研究センターは、2016年4月に、水産大学校との統合により「国立研究開発法人 水産研究・教育機構」となりました。また、平成28年度から32年度までの5ヵ年を期間として、農林水産大臣から中長期目標が示されたのを受け、第4期中長期計画を策定し開始しました。本中長期では、研究課題の重点化等による研究開発成果の最大化を目指します。
中央水産研究所は、「経営経済」、「資源」、「海洋・生態系」、「水産物応用開発」、「水産生命情報」、「沿岸・内水面」の6つの研究センターで構成され、共通基盤的な研究開発を強化し、着実に進めております。内水面研究に関しても、本年より当所にて進めることとなりました。また、黒潮海域を受け持つ中央ブロック(千葉県~宮崎県)については、三重県に本所がある増養殖研究所と連携して対応する体制となっています。
共通基盤的な研究を進めるに当たっては、常に高い研究レベルを維持することはもちろんのこと、その成果を水産業の現場に役立てていただけるか、さらに国民にいかに成果を還元するかが重要だと思います。そのため、日頃から、全国の水産業の現場や、地方自治体、他の水産研究機関等のニーズ、シーズを的確に把握し、研究成果の受け渡し方、広報の仕方まで緻密に検討しておくことが、「役に立つ研究所」になるために不可欠な作業だと考えています。さらに地球規模の貢献も視野に国際的である必要もあります。
さて、東日本大震災からすでに9年が経過しましたが、未だに被災地の水産業は、復興半ばです。中央水産研究所は水産研究・教育機構の一翼を担い、放射能分野、応用開発分野、経営経済分野、沿岸・内水面分野を始めとする担当分野の調査研究を用いて、東日本大震災からの水産業の復興・再生に全力で取組みます。
また、第4期中期計画に謳った3つの重点研究分野、「水産資源の持続的利用のための研究開発」、「水産業の健全な発展と安全な水産物の供給」、「海洋・生態系モニタリングと基盤研究」、そして「水産業を担う中核的な人材の育成」を、他の研究所、水産大学校をはじめ、地方公設試験機関、大学、民間との連携を強化し、着実に推進し、「水産日本の復活」に向けての研究開発をスピード感を持って進めていきます。
今後とも、ご指導ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。
令和 2年 4月 1日