下田・南伊豆におけるイセエビ漁獲量の2年後までの予測


[要約]
 下田・南伊豆において、イセエビの幼生・稚エビの採集尾数と漁期ごとの小エビの混獲尾数、漁獲量の間に相関関係があることが明らかとなり、幼生・稚エビの採集尾数から、2年後の漁獲量を予測することができた。

静岡県水産試験場伊豆分場

[連絡先] 0558-22-0835[推進会議]中央ブロック水産業関係試験研究推進会議[専門]  資源評価[対象]  いせえび[分類]  普及

[背景・ねらい]
 イセエビは下田・南伊豆地域の水産資源であり、漁獲量を予測し漁業者等へ漁況情報の提供を行う目的で、これまでに蓄積された幼 生・稚エビの採集量、小エビの混獲尾数、漁獲量の資料をもとに検討を行った。

[成果の内容・特徴]

  1. 下田・南伊豆の各地区の小エビ数と全体の小エビ数の間に高い相関が認められ、この地域のイセエビ資源を一つとしてとらえることが 可能であると示唆された。
  2. 下田・南伊豆の小エビ数と翌年の漁獲量の関係は、第1図のような関係が見られ、小エビ数がわか れば翌年の漁獲量が予測可能となった。
  3. 下田市白浜において水産試験場が実施しているコレクターによるプエルルス幼生・稚エビの採集数と白浜での翌年の小エビ数の関係は 、第2図のような関係が見られ、幼生・稚エビ採集尾数から翌年の白浜の小エビ尾数が予測できた。
  4. 白浜の小エビ尾数と下田・南伊豆全体の小エビ尾数の関係は、第3図のような関係が見られ、白浜の 小エビ尾数から下田、南伊豆の小エビ尾数が推定できた。
  5. 白浜の幼生・稚エビ採集尾数、白浜の小エビ尾数、下田・南伊豆の小エビ尾数、漁獲量の上記のような関係をもとに、 第1表のように白浜の幼生・稚エビ採集尾数から2年後の漁獲量を予測することが可能となった。

[成果の活用面・留意点]

  1.  このような漁獲量予測は、漁業協同組合が行うイセエビの蓄養事業において、蓄養池の使用計画や販売計画を考える上の、参考資料 として活用されている。
     しかしながら、イセエビは複数の年級群を漁獲しており、また水温や天候によっても大きな影響を受けるため、今回の漁獲量予測はある 程度の幅を持ったものと考えるべきである。

[具体的データ]





[その他]研究課題名:放流技術開発事業予算区分 :栽培漁業振興対策研究期間 :平成7~11年研究担当者:岡本一利発表論文等:平成8年度日本水産学会春季大会発表
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