マサバ・ゴマサバ幼魚期の識別について


[要約]
 内部形質により種判別を行い、第1背鰭棘数、判別指数(第1背鰭までの基底長/9/尾叉長×100)及び正中線上の斑紋との相関を調べたところ、判別指数と正中線上の斑紋によって種判別が可能と考えられた。

静岡県水産試験場

[連絡先] 054-627-1815[推進会議]中央ブロック水産業関係試験研究推進会議[専門]  資源生態[対象]  サバ[分類]  研究

[背景・ねらい]
 近年マサバ資源の全国的な低水準が続く中で、ゴマサバの漁獲量が増加しているが、両種の識別は現場において精度よく処理されて いるとは言い難い。一方。マサバ及びゴマサバはTAC対象魚種となり、両種を精度よく識別する必要性が高まると考えられる。

[成果の内容・特徴] 第4・第5脊椎骨に付随する神経棘間にある背部担鰭骨数(1本がマサバ、2~3本がゴマサバ)により種判別を行い、下記の外部形質 との相関を調べた。

  1. 第1背鰭棘数による魚種判別
     第1背鰭棘数が9~10本がマサバ、12本以上はゴマサバと概ね判断してもよいと考えられる。しかし、11本は両種とも混在していた。
  2. 判別指数による魚種判別
     第1背鰭の9番までの基底長/9/尾叉長×100を計算したところ概ね1.25以上がマサバ、1.25以下がゴマサバと考えられた。
  3. 正中線上の斑紋の有無による魚種判別
     斑紋が明瞭でかつ独立しているのを斑紋有り、斑紋がないか、あってもその一部が背部帯状斑紋と連続していたり、斑紋相互が連絡して る場合は斑紋無しと表現した。その結果、尾叉長90mm以上で比較的良い対応が見られ、斑紋ありを概ねゴマサバと判定してよいと考えられ た。また、正中線上の斑紋は、尾叉長70mm以下では発現しないが、70~90mmで発現し始め、90mm以上で安定すると思われる。

[成果の活用面・留意点]

  1. マサバ・ゴマサバの種判別は判別指数及び正中線上の斑紋により可能と考えられるが、サイズや系群による相違の可能性も否定できな いので、全国的な規模で検討するのが望ましい。

[具体的データ]




[その他]研究課題名:予算区分 :研究期間 :研究担当者:花井孝之発表論文等:マサバ・ゴマサバ幼魚期の識別について、関東近海のマサバ      について、通算29号、1996
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