平成12年度中央水産研究所運営会議概要報告

主催責任者:中央水産研究所長

開催日時:平成12年5月31日

開催場所:中央水産研究所特別会議室

出席者・人数:外部評価委員5名、水産庁2名、所内出席者17名
(出席者名簿はこちら)

結果の概要

1.開会   企画調整部長が開会を宣言した

2.挨拶   所長より挨拶があった。

3.座長選任 島委員を座長に選任した。

4.議事

(1)所の現状 所長より、中央水産研究所の現状及び近況について説明した。
(2)施設、予算の概況 総務部長より主な施設、船舶、人員、及び予算の概況について説明した。
(3)前回の運営会議における指摘事項への対応 企画調整部長より、11年度の運営会議における指摘事項への対応について説明した。主なコメントは以下の通り。
 独法化により研究報告を一本化することを検討中とのことだが、学会誌のミニチュアではなく、独自性を保ってもらいたいとの指摘があり、国際シンポジウムのプロシーディング、レビュー、学位論文等を含めた幅広いものを考えている旨説明した。
 民間との連携が深まりつつあり、評価できるとの講評であった。また、生研機構等の外部予算への対応状況はどうかとの質問がなされ、応募はしているが採択には至らなかった旨説明がなされた。
 各課題について、どれだけの人員と予算をかけて行ったかの情報が必要なのではないかとの指摘があった。
(4)研究課題と進捗状況 各研究部長より、研究基本計画に基づく各大・中課題の進捗状況について説明し、評価委員より評価を受けた。全ての大・中課題について適正との評価であった(一部の課題についてはコメント付き)。
主要なコメントは以下の通り。
研究評価総括表の様式及び記入の仕方に一部不備があるとの指摘があり、改善する旨回答がなされた。また、説明資料が非常にわかりにくいとの指摘があり、改善を求められた。
 研究基本計画における用語などに必ずしも適切とは言えないものがあるとの指摘があり、研究基本計画は作成直後で現時点での変更は困難であるが、改訂のチャンスがあれば改善したい旨回答がなされた。
 沖合域の資源状態及び基礎生産力についてきちんと把握する必要があるとの指摘があり、新たに開発された中層トロール等による調査研究が可能になりつつあり、今後発展が見込まれるとの回答がなされた。
 加工流通関係の中課題の中で、小課題の配置と仕分けが必ずしも適切とは言えないとの指摘があり、人的資源の問題もあるが、情勢をよく見て見直したいとの回答がなされた。
 経営経済関係の課題設定について、対象が広すぎる課題があり、研究対象を絞り込み、方法論をきちんと詰めた上で設定する方がよいとの指摘があった。
(5)連携・調整 企画調整部長より、水産研究官及び分野別研究官の業務、並びに水産庁研究所間の連携・調整について説明した。
(6)行監報告 企画調整部長より、11年度に行われた中央水産研究所の行政監察とその対応について概要を報告した。
(7)独法化と中央水研の役割 所長より、平成13年の水産庁研究所の独立行政法人化についての説明があった。
(8)総括的討議及び評価 各外部委員より総括的な評価及びコメントを受けた。
主なコメントは以下の通り。

「漁獲努力量の正確な把握が重要である。把握しているつもりでも技術などの発展によって単位努力量そのものが変化し、正確な把握が出来なくなる。努力量のシフトをどうやって防ぐかが問題。従来の資源管理型漁業では、努力量を管理したときに経費がどれくらいかかったのかの把握がよくなされていない。資源管理型漁業で言われる先憂後楽も完全に正しいかどうかは疑問である。資源管理には、以上挙げたように放置できない大きな問題が残っており、このことを認識しておいて欲しい。」

「大・中課題の研究評価総括表に矛盾点や誤解を招きかねない不具合が目立つので改善してもらいたい。また、完了課題の評価は進行中のものとは異なるべきと考えるので、今後検討してほしい。前回述べたことだが、論文数はやはり少ない。書けない理由として、忙しさが挙げられており、その通りとは思うが、書くか書かないかは結局発信の意欲の問題。さらに言えば、研究に生き甲斐を感じているかという問題に関連してくる。独立行政法人になって大所帯になるようだが、その中で研究者のやる気をどう引き出してゆくか考えて欲しい。研究対象を漁獲対象種に限らず、水界生態系全体に目を向けて欲しいと前回要望したが、その方向に進んでいるようで喜ばしい。」

「日本の魚食文化を大切にする必要がある。良質の魚を消費者に届ける流通技術及び加工利用技術の重要性を強調したい。研究評価総括表の書き方に分かりづらい点があるので改善してもらいたい。」

「日本を代表する機関としての研究水準を持つことが第一である。経営経済部に関しては水産経済、漁業政策のシンクタンク的な機能を合わせ持つことが期待される。日本の漁業政策を片視野において研究を進めること、また、県水試等への研究支援、関係団体の研究水準を高める活動を望む。漁業、漁村、流通で何が問題であるのかを意識的に把握してほしい。他産業分野(農業、地場産業分野等)との交流も考慮して欲しい。」

「多魚種一括管理の実現に向けての努力を。沖合域の生産性及び資源量の検証及び調査研究を徹底的にやっておく必要がある。水産研究所の研究対象は漁業資源のみでなく、海洋生物資源をすべて含むと言う姿勢で研究を行ってもらいたい。TACに関しては、日本は欧米と異なり、あらゆる成長段階の魚を利用する。従って重量による管理のみでは不十分で、生活史への考慮を含めた個体数による資源管理が今後必要と考える」

 

5.閉会 企画調整部長が閉会を宣言