中央水研ニュースNo.32(2003...平成15年7月発行)掲載

【研究情報】
今村伸太朗さん,国際シンポジウムにて最優秀ポスター賞受賞
山下由美子

 国際シンポジウム「海洋生命体の機能-多様な環境への適応のしくみ(Function of Marine Organisms -Mechanisms of Adaptation to Divers Environments)」が平成15年2月22~23日,東京大学弥生講堂において開催され,今村伸太朗(東京水産大学大学院資源育成学専攻)・山下倫明(加工流通部加工技術研究室長)・尾島信彦(生物機能部細胞生物研究室研究員)の三名が「ゼブラフィッシュCDC48 遺伝子の低温応答による転写機構(Cold responsive transcriptional mechanisms of the zebrafish CDC48 gene)」の発表で最優秀ポスター賞(The best poster award)を授与されました。魚類の低温適応に働く新しい遺伝子機能が明らかになった研究です。「環境適応の梁山泊」とも言える専門性の高いシンポジウムで,世界の第一線で活躍する研究者から認められたことは大変意義深いことです。
 このシンポジウムは東京大学海洋研究所の主催によるものです。'Biochemical Adaptation'(『生化学的適応』)の著者でもあるGeorge Somero博士の基調講演をはじめ,米国,カナダ,英国からの第一線の研究者による招待講演を含む6つのセッション「環境適応の種特異性」「尿素による環境適応」「環境適応因子」「ストレス応答と老化」「バイオミネラリゼーションの組織化と機能」「バイオミネラリゼーションと海洋環境」,27件の講演,40件のポスター発表が行われました。シンポジウムの詳細はDOBIS(東京大学海洋研究所)http://www.dobis.ori.u-tokyo.ac.jp/index.htmlでも公開されています。中央水産研究所からも森田貴巳研究員と山下倫明室長が講演されました。大学院生やポスドク,招待研究者から積極的な議論参加が得られ,若い研究者にとって大きな刺激となるシンポジウムでした。
 今村さんは東京水産大学大学院の博士課程在学中で,連携大学院教授の山下博士の指導の下,3年間寝食もままならぬストレスにさられつつ打ち込んだ研究の成果が実りました。この発表内容は欧州生化学会誌FEBS Lettersに掲載される予定です。今年の9月の学位論文提出に向けて,さらにスパートがかかっています。研究発表の詳細は今村さんの【研究情報】(本号p.21~23)の解説をご覧下さい。
(加工流通部 品質管理研究室)

Yumiko Yamashita
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