三大珍味のひとつ「ホタテ干貝柱」のおいしさと「褐変」

 ホタテ干し貝柱は,フカヒレ・干しアワビと並び,中国料理の三大珍味として珍重されています。干貝柱は,新鮮な貝柱を煮熟し火にかざして乾かし,さらに天日でじっくり乾燥させてつくります(近年では温度管理の行き届いた人工乾燥によるものもあります)。このとき,豊富に含まれるアミノ酸と糖類が結合して褐色に変化します.これを「褐変」と呼びますが,製品の輝くような「琥珀」色,芳醇な「香ばしさ」は,褐変の進行に伴って醸し出されます.
 この褐変には貝柱に大量に蓄積されているグリコーゲンが大きく関係しています。グリコーゲンは水揚げ後ゆっくり分解しはじめ,グルコース,フラクトース−6−リン酸,グルコース−6−リン酸などの糖類に変化しますが,これらが多く蓄積した原料からつくると製品の褐変が行き過ぎて黒っぽくなり,おいしそうに見えなくなります。ですから,活きたホタテを煮熟してグリコーゲンの分解酵素の働きを止めて、乾燥に入るのが決め手になります。このように,色・形・味の三拍子揃ったホタテ貝柱には,ほどよい「褐変」が必要不可欠といえます。近年では,褐変物質のメラノイジンが脂質酸化を防止したり,抗ガン作用をもつことも明らかになるなど,ホタテ干貝柱の琥珀色には多くの秘密が隠されているのです。

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