エビは「めでたさ」のシンボル

 人類とエビとの出会いは大変古く、エジプトの壁画、古代ギリシャの詩、古代インカ帝国の副葬品のモチーフとしても登場します。日本でもエビはタイと並んでめでたい魚介類の代表とされ、縁起物として、正月の蓬莱飾りや、鏡餅の飾りとして使われてきました。伊勢神宮では古くから神々に捧げる供物(神饌)として選ばれ、イセエビは大祭りといわれる最も大切な祭典に供されます。また婚礼の食膳に供する習慣は室町時代から引き継がれ、現在エビは披露宴のメニューに欠かせないもののひとつとなっています。このように、エビは古来から単なる食料品としてではなく、特別の象徴的な意味を持つ生物として扱われてきたことがわかります。
 エビは、脱皮する習性から「生命・体を清めるめでたいもの」とされてきました。また鎧兜(よろいかぶと)を思わせる立派な姿勢をもち、或いは長いひげ、曲がった腰の老人を連想させ、長寿の相を持つ海の翁としての意味を持つこと(これが「海老」の字の由来といわれます)、目が飛び出ていて「めでたい」こと、また加熱するとエビ色(赤褐色)に変わり、見た目にも美しく華やかであることが縁起物としての条件に合っているといえるでしょう。
 日本料理はとくに、目で食べる料理といわれ、色彩も大変きれいです。エビは料理の美しい色を表現するのに重要な役割を担っており、婚礼、宴会用の特別料理から本膳料理、懐石料理、会席料理、惣菜などの大切な材料とされています。
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