硬直を遅くする「活けしめ」とその後の保管温度

数種魚類の死後硬直の進行とATP消失時間(岩本,1989)
保存温度 硬直開始〜完全
硬直到達時間
ATP消失時間
ハマチ(即殺) 0℃ 2〜9時間 11時間
10℃ 2〜24 >24
ヒラメ(即殺) 0℃ 3〜21 18
10℃ 6〜32 >32
ヒラメ(苦悶死) 10℃ 2〜8 2
 死後硬直は、筋肉のエネルギー物質であるATP(アデノシン三燐酸)の減少に伴って、収縮に関わるタンパク質同士の結合状態が変化することが関係していると考えられています。魚が暴れるとATPを著しく消費しすぐに硬直してしまいますので、これを遅らせるために「活けしめ」による即殺が一般に行われています。「活けしめ」は、硬直開始時間を苦悶死の数倍にも延長できるほか、疲労による筋肉中の乳酸生成量を最低限に抑える効果もあります。「活けしめ」を行った後の保管温度によっても硬直開始時間は影響され、氷蔵(0℃)よりも5〜10℃保管の方が、硬直開始が遅くなるとの報告もあります。どのような処理条件を選ぶかは、魚の消費形態によって異なります。

問い合わせは加工までお願いします
(メールアドレスは不定期に変更されます)

「中央水産研究所日本語ホームページ」へ

「水産物の利用・加工」へ

「おさかな豆知識」へ