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日本水産製品誌(第一~第五の合本)
農商務省水産局,1913-1916(大正2-5)年,5冊合本(593p),22cm
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 『日本水産捕採誌』『日本水産製品誌』『日本有用水産誌』を「日本水産誌」と呼びます。明治19年に農商務省水産局が編纂を企画して、調査、執筆、編纂をおこない、明治28年に原稿が完成しました。3誌の編纂監督には田中芳男がつき、『捕採誌』は金田帰逸、竹中邦香、中村利吉が、『水産製品誌』には山本由方、河原田盛美が、『有用水産誌』には加藤正韻、柏原忠吉が、それぞれ編纂員としてあたりました。たいへん貴重な資料が完成したものの、水産局の経済的事情により原稿完成時に公刊することはできませんでした。明治40年代になってやっと、水産書院が農商務省の許可を得て、自社の刊行物『水産文庫』に順次分載することになりましたが、残念ながら『日本有用水産誌』は水産書院からも刊行されることはありませんでした。
 『日本水産製品誌』は、編纂当時日本に現存した水産製品の製造方法について、水産製品の絵とともに各地の特徴などをまとめたものです。全国各地の調査、古書から当時最新の書物までの幅広い文献の調査などをもとにしています。水産製品を、「第一編食用品」「第二編工用品」「第三編肥料品」「第四編薬用品」の4編に分けて編集しています。
 水産書院の『水産文庫』には大正2年から大正5年までの間に5回掲載されましたが、第一編食用品第二章植物第一節乾品類第三十九奴麻海苔までの掲載で終了しました。本資料は、その5回の掲載を合本したものです。
 その後、『日本水産製品誌』は昭和10年に全編を収録したものが刊行されています。大正12年の関東大震災で農林省に保存していた原本の原稿は焼失しましたが、水産書院(後の水産社)相談役宮崎賢一氏が謄本を所蔵していたため、農林省の許可を改めてとって水産社から全編が刊行できました。