鰻耳石齢査定ワークショップを開催

 平成29年11月8日(水)に、河川及び海域での鰻来遊生息調査事業に参画する県水試と水研機構の12機関から14名の受講者を迎えて、「ニホンウナギの耳石を用いた齢査定用試料作成、耳石齢査定、耳石分析技術」について、横須賀庁舎にて体験型講座(ワークショップ)を開催しました。
 ニホンウナギは、河川から内湾までを成育場として幅広く利用し、黄ウナギとして成長します。黄ウナギは5年から10年ほどを成長期として過ごした後、銀ウナギとなり産卵場へ向かいます。近年では、来遊するシラスウナギの採捕量の減少が大きく報道されており、その原因は、気候(海洋環境)変動、乱獲や成育環境悪化等さまざまな想定があります。また、利用する生息域ごとに、ウナギの性比、成熟年齢、成長速度などは大きく異なりますが、河川淡水域へ遡上せずに、汽水域・海域で成長する海ウナギについては、生態情報が不足しているのが現状です。これらの調査研究のためには、基本となる耳石による年齢や日齢の査定が重要です。そのため、このワークショップでは、耳石に関する研究手法をテーマとしました。ウナギの耳石は、試料の作成や輪紋の計数が初心者の場合は難しいため、ワークショップでは、耳石の試料作成から齢査定の方法や耳石を用いた様々な研究例を紹介しました。
 講習では、黄ウナギおよびシラスウナギについて、それぞれ耳石試料の作成方法を、具体的なプロトコルを説明し、実験室で実際に使用している器具や試料も使いながら、実地体験と講義を行いました。あわせて、近年分析技術や画像解析技術の向上にともなって応用例が増えている耳石の化学分析や耳石の形態による生態研究例について紹介する講義を行いました。最後は、耳石を利用した研究手法についての意見交換を行い、活発な質疑応答がありました。
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耳石分析技術についての講義
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実験室で試料作成手順の説明