貝毒の機器分析に関する国際ワークショップ・シンポジウムを開催

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 平成26年11月27日に中央水研において国際シンポジウム「Shellfish toxin monitoring with new detection techniques in Japan」が開催されました。
 現在,わが国の貝毒検査法は,公定法がマウス毒性試験から機器分析法等の代替検査法へ移行するという大きな変革の時期ににあるため,今,新たな分析技術や調査の仕組みを取り入れれば,将来,より安全で緻密な貝毒監視体制を構築することが可能になります。
 そこで,本シンポジウムでは,当センターの衛生管理グループと関係が深いニュージーランド コースロン研究所のLincoln Mackenzie博士を招待し,ニュージーランドで行われている機器分析法による貝毒監視体制について講演をしていただきました。ニュージーランドは,国際的にも早い時期に機器分析法を貝毒検査に採用した国として有名ですので,ニュージーランドの経験に基づいた博士の講演は,わが国が機器分析法等による貝毒検査体制を整備する上で極めて示唆に富むものでした。
 また,ブラジル連邦共和国 パラナ連邦大学からLuiz Mafra Jr教授を招待し,記憶喪失性貝毒(ドウモイ酸)や下痢性貝毒の監視体制に関する講演をしていただきました。講演では,ブラジルが,次回の国際有害藻類会議(ICHA2016)の開催国として,貝毒の研究に近年特に力を入れており,機器分析法による貝毒の監視体制の整備が急速に進められていることなどが紹介され,大変有意義でした。
 さらに,国内からは,水研センターや大阪府の研究者が,機器分析法等の導入に向けたプロジェクト研究の紹介などを行いました。
 以上の講演に加え,岩手県や熊本県,農林水産省 消費・安全局の貝毒担当官など総勢19名が一堂に会して,わが国の新たな貝毒監視体制の構築に向けて,活発な情報交換を行いました。また,国際共同研究や研究者交流についても意見交換がなされ,少人数でしたが,密度の高いシンポジウムとなりました。
鈴木敏之(水産物応用開発研究センター 衛生管理グループ長)
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鈴木グループ長の講演
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Mackenzie博士の講演
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Mafra教授の講演