中央水研ニュースNo.27(2001(H13).11発行)掲載
【情報の発信と交流】
一般公開報告-海区水産業研究部-
福田雅明
7月20日(海の日)に海区水産業研究部の一般公開を行いました。メインテーマを「海の中の親子」として,
アワビ,ヒラメ,イセエビ等を中心に親子の形態的な差異を標本やポスター等で展示し,また昨年同様にタッ
チプール,調査機器の展示,インターネット体験等を行いました。
図1.水槽展示
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今年は,民間団体である「よこすか市民会議」の全面的なバックアップを受け,横須賀市内の小中学校の全
生徒にビラを配っていただいたり,タウン誌に手配していただいたおかげで,昨年の入場者数338名を大幅に
上回る662名の方々が来所しました。午前10時に開門の予定でしたが,門の前に列ができ始めていたので10分
程度繰り上げて開門するほどの盛況でした。来訪者のうちの約半数からアンケートの回答が得られ,その結果
をみると,小中学校の生徒とその親の年代が多く,半数が横須賀市内の在住者でしたが,東京,埼玉,千葉,
茨城からの来訪者もありました。一般公開の情報源では,ポスターやビラを見て来訪した方がもっとも多く,
たまたま通りかかったというよりは一般公開を目当てに来訪した方々が多かったようです。これは,小中学校
にビラを配布したためと思われます。
展示コーナーでは,やはり水槽展示とタッチプールの人気が高く,生き物を間近に見ることの楽しさと興味
は老若男女を問わず人を引きつけるものと再認識しました(図1)。タッチプールについては,収容する種類
を増やしてほしいという意見・要望を耳にしました。しかし生き物を握りしめることによって,終了時には無
惨な姿になるのを見ると,果たしてこのようなコーナーを作っていいのか疑問に思うの私だけではないと思い
ます。今後は,生き物に触れることのすばらしさと同時に生命の大事さを教えられるような展示方法を考える
必要があります。
今年は長井地区にカギノテクラゲと呼ばれる毒クラゲが出現したことから,サンプルの採集や周辺情報の収
集を行っていました。そこで,展示コーナーの一角に生きたクラゲと刺されたときの対処法に関する展示品を
置いたところ,海水浴シーズンに入ったばかりで時宜を得て好評でした。このような展示は研究成果だけでは
なく,水産研究所が広く一般の方達にも責任を果たす良い機会だったと考えています。
今年初めて行った企画としては,メインテーマの標本等をクイズ形式にして問題を作り,解答用紙を提出し
た子ども達に「おさかな博士認定書」を配るというものでした(図2)。子ども達がクイズ用紙を持って,真
剣にメモをとる情景はこの企画の成功を実感させるものでした。また,ご両親達の熱心さにも迫力があり,日
本の教育熱心さを目の当たりにする思いでした。
最大の反省点は,車椅子に乗った人が来訪されたのに対応することができなかったことです。現在多くの施
設,場所で車椅子対策が施されている中,本当に残念でした。建物そのものを改築する必要はないと思います
が,スタッフが十分に気をつけていれば何らかの方法で対処可能だったと思います。
終わりに
一般公開は海区水産業研究部のような隔地部ではスタッフの人数も少なく,開催するために多大なエネルギ
ーを必要としますが,親に催促されても帰らない子ども達を見たり,「僕,楽しかったよ」,「来年も来ます
,次回を楽しみにしています」,等の声を耳にすると,やはり開催する事の意義を強く感じます。
(海区水産業研究部海区産業研究室長)
図2.おさかな博士認定書
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Masaaki Fukuda
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