中央水研ニュースNo.20(平成10年4月発行)掲載

【研究調整】
平成9年度民間懇及び水産物利用加工技術研究会報告
山澤 正勝

 平成9年11月27日、午前10時より、中央水産研 究所で「民間懇(水産物利用加工関係民間研究所及 び技術部門との懇談会)」の全体会議が開催された。 本会議は、水産物の利用加工技術の向上を目的とし て、産・官の交流、利用加工技術にっいての情報交 換や研究の推進について討議するため、中央水産研 究所長が主催し、年1回開催される。参加者は、民 間・団体25人、農林水産省10人、中央水産研究所 22人であった。
 まず、平成9年度の食品流通局及び水産庁の利用 加工関連事業について、関係各課から説明がなされ た。次いで、本年度の話題提供として、「食品産業 における新技術の動向」について、缶詰協会研究所 長森光國氏が、最近の製品開発のための標的である フレッシュ性、健康指向、高品質、医療食、シェル フライフ延長などを取り上げ、それらに対する具体 的技術について紹介し、意見交換を行った。また、 「未利用資源の現状とその有効利用」について、中 央水産研究所小林企画調整科長が「世界の未利用資 源の現状について」を、西岡加工流通部長が、「ア ブラソコムツ、バラムツの利用技術開発」について 話題提供を行った。今後の利用の可能性についての 意見交換を通して、ハダカイワシやアブラソコムツ 等のような未利用資源を高度に利用する必要性と可 能性が示された。
 また、当日の午後3時30分より、水産物利用加 工に関する情報交換、技術の交流および研究開発の 振興に寄与することを目的とした、民間懇が主催す る第1回目の「水産物利用加工技術研究会」が開催 された。今回は産・官・学の各演者から、次のよう な最近の研究成果について説明があり、討議を行っ た。
①水産物の食品照射検知技術の開発(中央水産研究 所:及川寛)、②水産食品における脂質酸化の問題 点と新しい脂質酸化指標の開発(東京水産大学:大 島敏明)、③工場内におけるスケトウダラ冷凍すり 身のゲル化特性の簡易な新評価法(紀文食品:加藤 登)
 本研究会は始めての試みであり、今後より有益な 研究会にするよう民間懇の幹事会で検討していくこ ととした。
(利用化学部長)

nrifs-info@ml.affrc.go.jp
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