中央水研ニュースNo.20(平成10年4月発行)掲載

【情報の発信と交流】
平成9年度一般公開
立花 明久

 中央水産研究所が横浜に移転して今回で4回目の 一般公開が11月16日(日)に「海は地球の宝もの」 をテーマとして開催されました。今回は、テーマ関 係の担当研究部として海洋生産部と環境保全部、毎 回担当の企画調整部、蒼鷹丸が中心となり、また、 当日の対応にはその他の各部の応援を得るなど、所 内全体の協力の基に取り組みました。当日は曇り空 でいくぶん肌寒く、夕方からは小雨模様となりまし たが、開催中はなんとか雨に降られず無事終了する ことが出来ました。
 主な公開内容は次のとおりです。

1.展示関係
①テーマ展示:参考写真
 水産業が環境とどの様に係わっているかについて の理解を深め、また、環境保全の重要性を考えても らうため、海洋の役割や生産の仕組み、最近話題と なっている地球の温暖化問題や海洋汚染事例などを パネルやNOAA衛星による日本近海の水温変化を モニタで表示するとともに、調査のための機器類や 普段見られない深海に生息する生物標本などを紹介 しました。そのほか、子供たちの目に直接訴えるよ う顕微鏡や実験による観察、毒性試験に用いる魚類 等の展示を行いました。
 地球温暖化については新聞紙上にも度々掲載され ていることから来訪者にとっても関心が高く熱心に 質問していました。また、ナホトカ号の油流出事故 事例の紹介に関して驚きとともに、大きな関心を示 していました。

②中央水研の紹介
 水研の紹介と子供たちを対象として我が国水産業 を分かりやすくパネルで紹介しました。徐々にでは ありますが、水産庁及び水産研究所のことが理解さ れつつあるように感じました。

③金沢(横浜)のいま・むかし:参考写真
 本年度も神奈川大学日本常民文化研究所の協力に より、中央水産研究所の所在地である金沢周辺の環 境が埋立てなどによってどの様に変化していったか を実感としてとらえられるように、現在と大正時代 の地形を立体模型で比較展示したほか、過去の生活 や漁業活動の状況を写真、錦絵及び生活道具等の展 示で紹介しました。特に立体模型での比較による変 化の様子は地元在住の人にとっても大きな驚きで あったようです。

2.講演会
①午前:海洋生産部 松川康夫低次生産研究室長:参考写真
    「お母さん、どうして海で魚が獲れるの?」
②午後:環境保全部 小山次朗水質化学研究室長
    「生物で測る海の汚染」
 講演会は一般に「堅苦しくて難しそう」との雰囲 気を持たれやすく、聴衆の入りが心配されました が、午前・午後とも30~40名とまずまずの入場者 数でした。また、親子連れも多く、アンケートによ る感想も「勉強になった。」「たのしかった。」と好 評でした。

3.タッチプール参考写真
 横須賀庁舎背後の磯で採取したウニ、カニ、ヤド カリ、アメフラシ等26種類の生物とのふれあいで は、大人でも気持ちが悪いと思えるアメフラシにも 子供たちは平気で手を触れ大喜びでした。また、西 海区水産研究所石垣支所の協力を得て収集した「サ ンゴ、貝殻」を希望者ヘプレゼントしたところ、予 想以上に大きな反響を呼び、段ボール2箱用意した にもかかわらず、またたくまに無くなってしまうほ どでした。

4.コンピュータ体験(インターネット、お魚クイ ズ、記念写真)参考写真
 最近では家庭にもパソコンがかなり普及し子供た ちも経験豊富とみえ、担当者の説明を受けなくても 積極的にインターネットやクイズに挑戦していまし た。今回のお魚クイズは当所の手作りで子供にはも ちろん大人にも好評でした。記念撮影は、機械の処 理能力の関係で行列が出来た前回の反省を受け、今 回はプリンターを2台にしたところ、待ち時間も比 較的短くスムースに対応できました。

5.調査船「蒼鷹丸」の公開参考写真
 蒼鷹丸の公開はバスでの往復にも係わらず相変わ らず好評で来訪者の7割近くの方が見学されまし た。特に今回は、バスの営業所に1台しかないとい う、青い車体に「スヌーピー」が描かれ、また、エ アーサスペンションの採用で乗り心地の良い、路線 バスとしては最高級のバスが配車され、バスを背景 に写真撮影をするなど子供たちにも大好評でした。

6.ビデオ放映
 中央水研の紹介、日本の漁業、環境保全に関する ビデオ10本を3ヶ所で放映しました。

 今回の来訪者数は615名と昨年(1066名)に比べ 450名の減少となりました。また、来訪者の動向に ついては昨年と同様に初めての来訪者が圧倒的多数 を占めていました。これらの来訪者の減少や複数回 の来訪者が少ない要因については今後の課題として 検討していく必要があると考えます。
 なお、今回初めて企画した、コーナー(テーマ展 示、タッチプール、コンピュータ体験、金沢のいま・ むかし)別の「スタンプラリー」は子供たちに非常 に好評でしたので、これからもいっそう充実させて いきたいと思います。
 最後に、「サンゴ、貝殻」を収集していただいた 西海区水産研究所石垣支所の皆様には大変お世話に なりました。紙面を借りてお礼申し上げます。

(企画調整部情報資料課長)

Akihisa Tachibana
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