中央水研ニュースNo.9(平成6年7月発行)掲載

【研究所一般公開】
“海と魚のこと”もっと知ってね
橋本 久之亮

 「海と魚を科学する94」と題して、中央水産研究所の 平成6年度一般公開を4月17日(日)~19日(火)に開 催しました。
 これは、4月18日の「発明の日」にちなんだ「科学技 術週間」への参加行事にもなっていました。この公開の 目的は、科学技術週間の開催趣旨である“科学技術の振 興を図り、広く一般国民が科学技術に関心と理解を深め る”ということでした。それに加え私たちにとって最も 大切なことは、移転(昨年8月1日)して間もないこと もあり、地域における中央水産研究所の存在をアピール し、知って戴くことでした。
 中央水産研究所にとって今年の4月は学会(幹事役 等)を控え、この行事に取り組む環境としてかなり厳し い状況にありました。しかしなんと言っても昨年、全所 員が乗り越えた(移転、開所式)パワーが健在であった こと、実行委員諸氏の奮闘は言うに及ばず委員以外の所 員の惜しみない協力(♪そこが中央水研のいいところ) を見逃すわけにはいきません。
 第1回の実行委員会を開いたのが2月3日でした。な んでこの忙しい時期に企画するのか、PRと人の確保を どうするか、部内の協力は得られるか(若い実行委員の 心配)等々「ざっくばらん」な意見交換をしつつ、どの 様な公開にするかの仕掛けを考えることから始まりまし た。あと2ケ月という焦りの色もありました。
 実行委員会の話合いの中で、背伸びすることなく“等 身大の公開をする”のが我々の役目であることをお互い に確認してからは、前進あるのみでした。展示関係の準 備を進める一方、こうなったら一刻も早く多くの人にこ のことを知ってもらう必要があり、まず、広報活動に全 力を傾注しました。
 広報の手段としてチラシの配布3,600枚(近隣の小中 学校、区役所、会社等)ポスターの掲示120枚(区役所、 市内公共施設、交通機関の駅等)報道機関へのPR(朝 日、毎日、読売、神奈川新聞等)等、を考え実行しまし た。その都度、研究所公開の趣旨を説明し、意図するこ とを相手に理解してもらい、快い協力を得るための粘り 強さを必要とするあたりは、ある種のセールスマンのよ うであり、広報活動の難しさと面白さ及び大切さを痛感 しました。
 幸い3日間とも好天に恵まれ、5才から70才代の広範 囲の方々、合計696名が来訪されました。年齢構成でみ ると多い順に40才代、5~10才代、30才代、50才代、職 業別では会社員、児童、主婦、公務員となっています。
公開内容は
①展示関係
 ☆顕微鏡で見てみようコーナー(魚・イカの稚仔・耳 石の拡大)
 ☆魚の実物展示コーナー(金沢沖合の生きた魚介類)
 ☆海洋観測機器展示コーナー(魚探・採水機器・ネッ ト類等)
 ☆魚の切手コーナー(世界の魚の切手)
 ☆宇宙から海を探るコーナー(人工衛星画像)
 ☆かまぼこの出来るまでコーナー(パネル及び製造実 験室の公開)
 ☆海と渚の環境美化と海難遺児を考えるコーナー
 ☆発光細菌
②ビデオ放映
「中央水産研究所の紹介及び海と魚に関する映像」
③講演会
「魚を食べるとこんなに健康になる」
   ・・・・・・等を行いました。
 展示関係の顕微鏡で見てみようコーナーでは、イカや マイワシなどの幼生の姿に顕微鏡をのぞいた子供たちか らは「こんな格好してるの・・・」と驚きの声や・・・・・・魚の実 物展示コーナーでは、この近くにもいろいろな魚介類 (こち、ひらめ、いしがれい、すずき、きゅうせん、まこ がれい、しゃこ、すなもぐり、えんこうがに、ふたほし いしがに、やどかり、まだこ、みみいか、まあなご、あ かたち、うみえら、きひとで、なまこ、すなひとで、い とまきひとで、ほしざめ)のいることや名前を知ること が出来た・・・・・海洋観測機器展示コーナーでは、初めて実 物の機器類を見ることができて良かった、もっと各種の 物を見せて欲しい・・・・・魚の切手コーナーでは、僕達もこ んなに美しい切手が欲しいと3人組の小学生・・・・・。3個 所に設置したビデオコーナーでは、内容が興味深く面白 かった。講演会会場では、健康に関心のある方々が熱心 に聞き入っていました。
 また、これらの公開内容に対する反響のほか、来訪記 念の絵はがき(魚の幼生)8枚1組も喜んで戴きました。
 最後に、アンケートにお寄せ戴いた感想・要望の中で の多くの喜びの言葉やご指摘は、今回の公開で得た経験 に合わせ、次回の道標になる貴重なものであることに間 違いありません。巨額の投資がなされ、研究環境の圧倒 的改善が図られたこと等により、中央水産研究所の今後 の研究活動の展開に多くの期待が寄せられています。 このことを私達が真剣に受け止め期待を果たすべく、 更に、全所一丸となって取り組む価値と必要性を感じて います。
(企画調整部 情報資料課長)
写真
エントランスホール全景
受付の様子
魚の実物展示
パネル
顕微鏡で見てみようコーナー

nrifs-info@ml.affrc.go.jp
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