加熱、身出ししたズワイガニの肉に薄い食塩水等を加えて調味し、 真空密封、高温高圧殺菌した缶詰のことで、大きく分けると脚肉の 棒肉(第1脚肉)のみを使用したもの、肩肉や崩れ肉を使用したフレーク、 棒肉とフレークを混合したものの3種類があります。 |
![]() ズワイガニ脚部の棒肉のみを使用した 缶詰製品 (写真提供:(有)トリサン) |
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![]() かに缶詰の生産量の推移 (社)日本缶詰協会 缶びん詰レトルト食品国内生産量統計より |
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●製造工程図 | ||||
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原料 | 生鮮ズワイガニ | |||
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脱甲 | 甲羅、エラを取り除き、脚部と肩部 (セクション)にする | |||
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洗浄 | 洗浄機により洗浄する | |||
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裁割 | 部位によって煮熟時間が異なるため、 脚部と肩部を切断する。 | |||
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煮熟(一次煮熟) | 60℃前後で5分間程度煮熟する。 | |||
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水洗・冷却 | 未凝固の血液を清水にて水洗・冷却する。 | |||
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採肉 | 脚部はローラーで採肉する。 | |||
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煮熟(二次煮熟) | 95℃で5分間程度煮熟する。 | |||
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冷却 | ||||
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冷凍 | 急速冷凍(グレーズまたは真空包装)する。 | |||
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原料の解凍 | 鳥取県企業の場合はここから開始している。 | |||
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配合、秤量、肉詰 | ← | 缶 | ||
↓ | 肉詰めに際しては硫酸紙でカニ肉を包む。 | |||
真空巻締 | ||||
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殺菌 | 高温高圧殺菌(F値4以上)する。 | |||
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冷却 | ||||
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函詰 |
二段煮熟とは、かに肉タンパク質の凝固温度(55~60℃)と血液成分であるヘモシアニンの
それ(70℃)の差異を利用したもので、60℃付近の温度で煮熟(一次加熱)後、水洗いしてブルーミートの
原因となるヘモシアニンを洗い出し、次いで95℃程度で煮熟する(二次加熱)ことです。
調味は、食塩をベースにその他の調味料を配合します。肉が缶に直接接触しないように、 専用装置により缶に硫酸紙を装着して肉を包みます。スチール缶を使用する場合、 缶内面をエナメルコーティングされたものを使用することにより、黒変は大幅に減少しますが、 より安全を期すため硫酸紙を使用します。アルミ缶を使用する場合は黒変が生じないため、 硫酸紙は使用せず、直接肉詰めします。 |
![]() 硫酸紙装着装置 ![]() 肉詰め工程 |
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肉詰め量は、加熱殺菌後の身の歩留まりを勘案して1割程度多めに充填します。
製品は大別するとズワイガニ脚部の棒肉のみを使用した製品と、フレーク製品があり、
フレークには肩肉、棒崩れ肉、爪肉、ナンバン肉(第2脚肉)、ラッキョウ肉(関節肉)等が
使用されます。棒肉とフレークを混合した製品もあります。
殺菌の方法は、高温で短時間(120℃30分程度)加熱する場合と、比較的低温で 長時間(110℃90分程度)加熱する2種類の方法があります。缶の中心温度は、温度ロガーを用いて記録します。 |
![]() 温度ロガー |
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