横浜庁舎の一般公開報告
  1.  当所では、横浜庁舎の一般公開を10月27日(日)に実施しました。

  2.  本年度は「魚食文化の大切さ」との視点から魚の美味しさの秘密と、最近話題となった食品表示や安全性に焦点をあて「魚のおいしさと安全を科学する」とのテーマで実施しました。当日、講演、展示、実演や実験、蒼鷹丸の見学を実施し、約700名が参加しました。
     今回は、長時間にわたってじっくりと見学される方々が多くみられました。

  3.  当所では、一般公開を研究の成果を国民にわかりやすく還元すると共に、次代の後継者たる子ども達に日頃の研究を広く知らせ、科学に興味にもってもらう場でもあると位置づけています。

  4.  講演は、「魚や海藻を食べると健康になるってほんとう?」「カキ・おいしさと安心」「水産系廃棄物のリサイクル率向上をめざして」の3テーマで、当所の関係室長が簡潔な言葉で行いました。用意したイスが埋まる程多くの方が参加され、食に関する関心の高さが伺われました。

  5.  展示では、ウナギのヨーロッパ産と日本産の違い、マダイの天然物と養殖物の違い、アジの輸入物と日本産の違い、また、サバの鮮魚と冷凍物の違いなど、単品では分かりにくい水産物を並べて展示して判断できる例を示したり、外見ではわからない場合にはDNA鑑定を行うことで、遺伝子の違いを検出して産地を判別する技術を紹介した。最新の研究を紹介したパネルの前では、見学者と研究者の質疑応答も活発でした。

  6.  エビやアオサの色素を実際に分離する実験、炎で成分を判別する実験、寒天培地に乳酸菌で絵を書いて、「明日、絵が浮かび上がるのを楽しみに、持って帰って」という無菌操作の実験、アオサを添加した紙の作成等、実際に体験して持ち帰るコーナーなど、種々の体験実験にも多くの親子が参加しました。

  7.  衛星からのデータを受信して、海面の水温をリアルタイムで表示し、これらを用いた研究成果をパネルで展示するなどの最新の研究も紹介しました。

  8.  焼きちくわを作る体験コーナーでは、研究員の指導を受けながら、親子で初めてさわる魚のすり身をこねて、焼き棒に巻き付け、焼いてちくわになるまでを体験しました。
     「焼きたてのちくわが、これほどおいしい物とは思わなかった」との感想があちこちで聞かれました。

  9.  中庭では、当所の横須賀庁舎のある荒崎海岸に生息する魚、貝類、エビなどの展示した「ミニ水族館」や自由にさわることのできる「タッチプール」を置き、日頃さわる機会のない子ども達が魚介類と接する機会を設けました。タッチプールでは、恐る恐る触れては驚きの目で見て、親の催促にもかかわらず、なかなか離れようとしない子ども達で盛況でした。ミニ水族館では親子で説明板と見比べる風景が見られました。

  10.  東京湾や房総半島が一望できる6階には休憩室が設けました。ここでコーヒー等を飲みながら東京湾の水産業を学習したりできる場を設けました。東京湾のいろいろな船舶の運航の多さに驚きの声があがっていました。

  11.  当所の調査船「蒼鷹丸」も公開しました。当所と岸壁を結ぶバスはピストン輸送にもかかわらず、常に満員の盛況で、実際に操舵軸を握ったり、ロープの結び方の講習を行いました。「昨年教えてもらったロープの結び方で分からないところをもう一度教えて欲しい」などのリピーターからの質問にも驚かされました。

  12.  次年度も秋に一般公開する予定です。

nrifs-info@ml.affrc.go.jp

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