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写真解説日本の釣
松崎明治. 三省堂,1939(昭和14)年,80p,21cm.
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 釣りの魅力を伝えるには従来の文章のみではなく写真で伝えることが効果的だという意図で編集された写真集です。写真は著者自身が長年にわたって撮りためた中から選りすぐりのものを集めています。編集方法には、「水」の心に従って“高きより低きに”即ち、1.高層地の釣(渓魚)、2.山上湖の釣(姫鱒其の他)、3.中流の釣(鮎)、4.低地の釣、5.磯陸釣、6.沿岸の舟釣、7.鯛の沖釣、8.一般沖釣、9.海釣スナップ、というように山間の高地から河口へ、さらに磯から沿岸へ、沖へという水の流れの並び順を採用しています。
 また写真1枚1枚に簡単な解説文があります。例えば、「2.唐松澤の谿入り(東京附下)」は沢入りする釣り人がいつどこの澤に入ったかを書き記すための澤入口にある告知板の写真です。渓流釣では静けさが重要で当日はもちろん前日、前々日同じ澤に入った人がいたら釣果に影響するためだと説明がついています。「70.沼津の車竿」では、近年東海道で車竿が流行しているが少し前までは車竿は北海道と台湾で使われていて内地にはなかったと説明されています。「79.青鱚の下駄釣」「80.下駄釣師の歩き方」は、脚立釣りが有名な東京湾の青鱚釣りのもう一つの釣り方である高下駄釣りの写真とその説明です。これらの解説文は読者に日本の釣りを正しく認識してもらおうという狙いがありました。
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