世界初となる産卵場でのウナギ成魚捕獲
研究課題名:天然ニホンウナギの資源生態に関する研究
実施年度:平成19~20年度
浅海増殖部 浅海生態系研究室長 張  成年
資源増殖研究室 黒木 洋明

目的


 近年、ウナギの稚魚であるシラスウナギの減少が著しく、養殖業に悪影響を与えています。人工種苗生産に大きな期待がかけられていますが、未だに実用化には至っていません。飼育技術の改善には自然界における親魚や仔魚の生理や生態についての情報が重要となります。そこで、本研究ではウナギの産卵場と想定される海域でウナギ親魚の捕獲、仔魚の採取、行動調査を行いました。

方法


 西マリアナ海嶺南部海域において大型の中層トロール網(最大開口50m × 60m)による成魚捕獲、プランクトンネットによる仔魚採取及び超音波発信器によるウナギ追跡調査を行いました。

結果と解析


 中層トロールにより、2008年6月と8月に世界初となる雌雄各2個体、2009年6月には雌雄各4個体を捕獲しました(図1)。捕獲状況から170~300mの水深帯で入網したものと考えられました。また、ふ化後間もない仔魚も多数採取され、仔魚の分布水深が150~200mであると特定できました。日本沿岸で捕獲した降りウナギを本調査海域まで運搬し、超音波発信器を装着・放流し追跡したところ、昼間は300~600m の深い水深帯に生息する一方、夜間は200m 程度の浅い水深帯に浮上してくることがわかりました(図2)。


図1.2009年6月に捕獲された雌

図2.超音波発信装置によるウナギ追跡結果

波及効果


 人工飼育親魚と天然親魚の生理学的な違いがわかります。また、天然親魚や仔魚の生態情報は人工飼育技術の開発に利用できます。

発表


  1. 張 成年 (2008): 産卵海域で成熟ウナギの捕獲に成功!日本水産学会誌 74: 979-981.
  2. Chow, S., Kurogi, Y., Mochioka, N., Kaji, S., Okazaki, M. and Tsukamoto, K. (2008): Discovery of maturefreshwater eels in the open ocean. Fisheries Science 75: 257-259.