カタクチイワシの脂肪量別漁獲量の推定
研究課題名:利用特性を考慮した資源状態の把握
実施年度:平成19~23年度
資源評価部 生態特性研究室 久保田 洋

目的


 カタクチイワシは傷みやすく生食用での流通が少なく、大部分が養殖餌料や煮干しで利用されています。そして脂の無い方が良質の煮干しに加工できるため、脂の少ない方に高値が付きます。このため、いつ、どこで、どのくらいの脂を持ったカタクチイワシが水揚げされているのかを明らかにしようと解析を進めました。

方法


 主要水揚げ港での漁獲物や沖合調査の採集物を試料として収集しました。粗脂肪含有率は比重法(小林, 2003)により計測しました。千葉県水産総合研究センターから提供されたデータも含め解析し、既存の資料と解析結果から、粗脂肪含有率別漁獲量を推定しました。

結果と解析


 図1から、南の海域で脂が少ない傾向が見て取れます。また、漁獲量の多い時期には脂の乗ったものが多い傾向がどの海域でも見られます。煮干し等の加工に利用可能なカタクチイワシの粗脂肪含有率は概ね2%以下であることから、2%を閾値として漁獲量の分布状況をまとめました(図2)。最も漁獲量の多い常磐・房総では脂の多い魚体が中心でしたが、西日本では脂の量からは加工向きの魚体が多いと言えます。ただし冬春季に西日本で漁獲される大型のカタクチイワシは、回遊と産卵で疲弊し脂が落ちてはいるものの生殖腺が大きいため単純に煮干し加工向きとは言えませんが、脂のない特性を活かした利用方法を考えるのが良いと思われます。


図1.粗脂肪含有率(%)別漁獲量の季節変化。 2002~2006年の平均像

図2.利用特性別漁獲量の分布マップ。 2002~2006年の平均像

波及効果


 カタクチイワシのより効率的な利用に役立てられます。また、カタクチイワシの利用効率が向上することにより、低水準のマサバ・マイワシ資源にも優しい漁業を推進しやすくなります。

参考文献


小林正三 (2003) 海産5魚種における比重と脂質含量の関係. 千葉水研研報 2:47-50