研究のうごき、6-20

カタクチイワシの新しい「すり身」へチャレンジ
-丸ごと全部を利用しよう-


 カタクチイワシの資源は安定しているが,その利用技術が伴わないために魚価は低迷し,漁獲量も伸び悩んでいる。この影響で,魚価の高い他の浮魚類が多く漁獲され,マサバ等の資源回復にも悪影響を及ぼしている。このため,魚種の交代に対応できる魚の新しい加工技術が望まれている。

 カタクチイワシが利用されにくい理由の一つは,魚体が小さいため,頭や内臓を除去する一次処理に多大な労力が費やされることにある。そこで,頭や内臓を除去することなく,魚体を丸ごと原料として利用する技術の開発をめざす。


 カタクチイワシの内臓等の苦味や生臭みを効率よく取り除く技術を開発した。その結果,カタクチイワシを丸ごと原料としても,異味異臭の極めて少ないすり身(ラウンドすり身)を製造することができた。

 この製造技術を確立し,カタクチイワシ冷凍原料を丸ごと用いたすり身を作ったところ,破断強度300g以上という実用的な弾力を得た。

 カタクチイワシのラウンドすり身を用いて「黒はんぺん」を試作した結果,好評価を得た。


黒はんぺん
左) 市販品 :原料はサバ肉 および スケトウダラすり身
右) 試作品 : 原料はサバ肉50% および 製造したカタクチイワシのラウンドすり身50%


 このすり身製造技術はカタクチイワシ以外の魚にも応用可能であり,サバ,シマガツオでも良好なすり身が得られたことから,今まで利用されなかった多くの魚を有効利用できると考えられる。

 現在,世界的にすり身の価格が高騰し,国内の水産ねり製品業を守るためにも低価格の国産すり身が求められており,コスト的に見合えば貢献できると考えられる。

魚体を丸ごと利用するので,頭や内臓などの廃棄物を出さない。

                                           (現在,特許出願中)