研究のうごき、6-17

中山間地域社会にもたらすアユの恩恵を評価する


  1. 中山間地域において,アユは,漁業,遊漁,および「食」を通して地域経済や文化に深く関与しているほか,川底のアカグサレ(図1)の原因となる藻類(水アカ)を摂餌することにより,良好な河川景観を維持することにも貢献している。
  2. アユのもたらす様々な恩恵の社会的価値を経済評価すると共に,それらの恩恵が最大となる条件を把握する。
図1 アカグサレした河床.


  1. 多くの人が,アユに対し,きれいな川に生息しているイメージを持っており,身近な川にアユが生息している生活環境に対する年間の評価額は一人当たり平均約6万円と試算された( 表1)。
  2. 摂餌によりアカグサレを防ぎ,川底をきれいに保つ効果は,アユの生息密度が4尾/m2 程度でほぼ最大に達した( 図2)。
表1 身近な川にアユが生息している生活環境に対する評価額。北海道および沖縄を除く1000名を対象に,家賃の差が月額いくらまでなら家賃が高くともアユが生息している川の近くに住宅を選ぶかアンケート調査した結果を示す。
図2 アユの生息密度と藻類量の関係。人工河川にアユを放流してから2週間目の藻類量を示す。


  1. 住民の期待する良好な川の景観を維持するために,どの程度のアユが生息していれば良いのか予測することに役立つ。
  2. 総合的な経済評価を行うことにより,アユの生息する日本本来の河川生態系を維持することに対する客観的な判断基準が提示される。