餌の生産力と川の物理環境がアユの生息密度に及ぼす影響を調べる
- 川でのアユの成長は,餌となる付着藻類の一次生産力とアユの生息密度に依存している。
- 川の一次生産力は,流速や水深などの物理環境が変わるため,場所によって大きく異なる。一方,物理環境の変化が,餌の量の変化を通し,アユの生息密度に及ぼす影響については未だ明らかにされていない。
- 流速や水深の変化が,一次生産力への影響を通して,アユの生息場所の利用の仕方に及ぼす影響を把握する。
- 群れアユは,水深が同じ場合,水流のある一次生産力の高い場所に多く集まったが,水深が異なる場合には,一次生産力が低いにも拘らず,水流のない深い場所に多く集まった( 図1)。
- なわばりは,常に一次生産力の高い場所に多く作られた( 図2)。
- なわばりアユの生息密度は餌の量に依存する一方,群れアユの生息密度は,餌の量に比べ,水深の影響を強く受けることが分かった。
図1 水流のある場所(水流+)とない場所(水流-)の群れアユの生息密度.水深が同じ場合(a)と異なる場合(b)の結果を示す.一次生産力は水流のある場所で高い.
図2 水流のある場所(水流+)とない場所(水流-)のなわばりアユの生息密度.水深が同じ場合(a)と異なる場合(b)の結果を示す.一次生産力は水流のある場所で高い.