研究のうごき、6-14

カワウ食害管理にむけて


 増加したカワウによる内水面のアユ等の食害が懸念される一方で,駆除等によってカワウが極端に減少する事態も避けなければならない。そこで,食害対策や個体群管理に資するために,数理モデルを作成してカワウの動態を把握する。カワウは広域移動するため全国規模の個体群モデルが必要となる。


 行政単位を考慮して都道府県を地域個体群とするメタ個体群モデルを構築した。北海道・沖縄を除き,県の数はn=45である。各県内には複数のコロニーがあり,繁殖率に密度効果があるとする。個体は県間を距離に応じて移動することができる。過去の知見によれば,カワウは冬期から夏期に季節移動を行う傾向があり,5月頃に繁殖盛期があることから,1年に1度移動して直後に繁殖を行うと仮定した。モデルは離散時間(1年単位) の差分方程式で,パッチ(県)にとどまった個体数に移入個体数を加えたものが次の年の個体数となる:

出生・死亡・移出等のパラメータを過去の知見などから与えることでシミュレーションを行った(図1, 2)。

図1 シミュレーション。青い円の大きさは各県の平衡状態での個体数の対数を表す。
図2 シミュレーション。初期個体数の3000羽から環境収容力に達する。


 得られた個体数や動態の知見をもとに,食害対策の効果と個体群への影響を定量的に評価することができる。国が中心となり県が主体となって行うべきカワウ管理の基礎となる。