研究のうごき、6-08

黒潮続流フロント域におけるカタクチイワシ仔稚魚の微細水平分布


 春季の黒潮続流域における仔稚魚の成長・生残の成否は,小型浮魚類(イワシ・サバ類)の加入量を決定する要因として重要である。水温が急激に変化する黒潮続流フロント域においては,仔稚魚は極めて集中した分布を呈しているが,分布を規定する要因が不明であるのはもちろん,詳細な分布状況も不明である。イワシ・サバ類のみならず,魚類一般においても,フロント域への集積機構を解明することは,餌料との遭遇過程の視点から成長,生残および加入の決定機構を解明していく上で重要である。このため,本研究では黒潮続流フロント域における詳細な分布状況を把握することを目的として,ネット採集によりカタクチイワシ仔稚魚の分布状況を解像度5マイル程度(約9km)の微細スケールにおいて解析した。


  1. カタクチイワシ仔稚魚の分布密度が黒潮流軸付近で劇的に変化することが捕らえられ,以下のような分布特性を持つことが明らかとなった。
      (1) 黒潮続流の流軸から冷水側10数マイルの間で,中層( 深度30m 以浅) における分布密度が急激に高くなる。
      (2) 表層( 深度1m以浅) における分布のピークは,中層の分布のピークより,10~20マイル冷水側へずれる。
  2. 測点毎に表面と中層の分布量を比較すると,体長10mm 以上では中層で明らかに多いため,カタクチイワシ仔稚魚の分布状況を的確に把握するには,表層曳きのみでは不十分で,傾斜曳きを主体とした調査を実施すべきであると考えられた。

2003年5月26日の調査で得られたカタクチイワシ仔稚魚の分布状況の一例。左下図は調査時の表面水温分布。右下図は左下図A-Bラインの水温鉛直断面。


卵・仔魚の輸送モデルを高精度化し,資源変動メカニズムの解明に貢献できる。