研究のうごき、6-04

大規模変動する海洋生物資源の税による管理


 大規模変動するさば類,マイワシ等海洋生物資源をその特性に併せて社会経済的観点からどのように管理すべきかを予備的に検討した。


  1. 資源の大規模資源変動に漁業への参入,退出は即座に対応できない。また,資源変動に即した漁業への参入,退出は固定資本を考えれば社会的にも不合理ともなり得る。
  2. 資源利用税は,所謂新古典派経済学では,希少資源利用に課税し利用を節約し,資源を回復させる手段となる。ここでは新規に大規模変動(レジーム・シフト)を前提にして,資源高水準期に管理の目的税として税を徴収し,低水準期には漁業者等に補助を与える方策を考えた。
  3. 資源低水準期には厳に許容漁獲量による管理が必要であるが,高水準期には資源管理の観点からは精密な数量管理ではなく,一般に経済的手法による漁業管理で足りよう。
  4. 時間軸に従った資源の管理の動態的効率性を高める政策が必要である。漁業生産あるいは消費の主にどの段階に資源管理経費(税)を帰着させるか,従量税あるいは従価税とするか,また需要の価格弾力性等から,具体的な税制の検討を進める必要がある。資源低水準期には資源の維持や特に高い再生産成功率を示す年代には資源回復させる必要があり,この時獲り控えに補助金を与える方策となる。この「税と補助金」は,資源を利用する産業内やその消費者で自ら資源高水準期に蓄えておくべきとの考えによる。
  5. 将来予測される世界的な食料の逼迫状況等からは資源管理経費を国民全体(政府)で負担する政策を採ることが自然である。魚価安定基金法等により資源高水準期には生産調整や魚価安定施策が実施されていた経過もある。この場合は,漁業からの税は議論の対象とはならない。

図 大規模変動する浮魚資源の漁獲量の経年変化
(例:北部太平洋まき網漁業)


大規模変動する海洋生物資源の管理方策検討に資する。