研究のうごき、6-03

太平洋クロマグロ仔魚と水温の関係


  1. 太平洋クロマグロの産卵場は沖縄南部の海域を中心とした,比較的狭い海域に限られている。
  2. 産卵されてから二・三ヶ月後に,高知県沖や長崎県沖の海域に来遊し,このときの来遊資源量が,その年生まれのクロマグロの豊度となる。
  3. 太平洋クロマグロの0才魚来遊資源量は変動が大きく,資源管理のために変動要因の解明が進められている。本研究では仔魚分布と水温の関係を調査した。


  1. クロマグロの主産卵期は5月~6月であり,5月の仔魚の主分布域は八重山諸島から台湾沖にかけての海域にある(図1)。その後分布域は6月の沖縄本島付近から7月の伊豆諸島周辺に北上する。
  2. 仔魚の空間的な分布は月により変化するが,仔魚の分布する水温帯は24~28℃で,26℃台に分布の中心を持つ特徴は変わらない(図2)。成魚は通年19~23℃に主として分布するが,主産卵期に最も高い生息水温を選択しており,産卵行動と水温の間に密接な関係があることが示唆された。
  3. この海域の海洋学的な特徴は,亜熱帯循環の西端にあたり,高水温であることと西側を北流する黒潮が存在すること,直径約数百kmの渦が存在していることであり,これが仔魚の成長とその後の日本近海の摂餌海域への移動にとり重要な要素と考えられる。
図1:産卵時期(5月)のクロマグロ仔魚と20m 深水温の関係。
写真はクロマグロ仔魚。
図2:1960年から1989年までの5月(左図)と6月(右図)のクロマグロ仔魚が採集された調査点の海面水温頻度分布.両月とも分布の中心は26度台にある。


  1. 太平洋クロマグロの加入量変動機構の解明と加入過程を明らかにする上で端緒となる成果である。
  2. 地球温暖化の太平洋クロマグロへの影響を予測するために重要な知見となる。