魚の暮らす田んぼで
イネを育てる
背景と目的
 かつての田んぼにはたくさんの魚が暮らしていた。フナやドジョウは,農家の貴重な“おかず”であり,同時に魚採りの楽しさを味あわせてくれた。水田での漁労が廃れてしまった現在,田んぼの魚は,安全な食のシンボルとして新たな価値が与えられようとしている。生物多様性の枠組みのなかで,田んぼの魚たちはどのような役割を担っているのだろうか?私たちは,伝統的な水田での養魚に着目して,16筆の実験田(4×9m)を基に調査を進めている。

成  果

  1. 放された魚(フナ)は,田んぼに棲む生き物を餌として利用しながら成長した。魚のいる田んぼ(養魚田)と,いない田んぼ(対照田)を比べてみると,養魚田ではウキクサの繁茂が乏しく,地中のイトミミズやユスリカの密度も低い状態で推移した。
  2. 魚による摂食・消化・排泄の過程を通じて,分解物となった餌料生物は再び水中へと放出される。養魚田と対照田を比べてみると,養魚田の水中では窒素化合物がより多く溶け込んでいる傾向が認められた(図1)。
  3. イネにとって,施肥が限られている水田では,水に溶け込んだ窒素化合物によって肥料としての効果が得られる。実際に養魚田と対照田を比べてみると,単位面積当たりのコメの収量は前者において優れていた(図2)。

図1.硝酸塩濃度の比較

図2.粗玄米収量の比較

波及効果
 養魚産物の特産化により,地域振興への貢献が期待される。
問い合わせ先:内水面研究部(上田庁舎) 生態系保全研究室(井口)

nrifs-info@ml.affrc.go.jp

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