イセエビ類フィロソーマ幼生の天然餌料解明
背景と目的

 イセエビ類の幼生はフィロソーマと呼ばれ,他のエビ,カニ類の幼生とは非常に異なる変わった形態をしている(図1)。フィロソーマが自然界でどのような餌生物を利用しているかは,まったく不明である。餌生物が解明できれば,人工飼育における最適餌料の開発に重要な知見となる。
 そこで,フィロソーマの消化管内に存在する異種生物DNAを検出する技術を開発し,フィロソーマが自然界で好んで食べている餌生物を明らかにすることを目的とした研究を行った。


図1.フィロソーマ幼生

成  果

  1. 消化管から抽出したDNAを用いてリボソームRNA遺伝子の18S rDNA中央部分を,ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)で増幅した。クローニングしたPCR産物を制限酵素処理したところイセエビ以外の18S rDNA分子を得ることができた。
  2. 決定した塩基配列をデータベースと照らし合わせ,その由来生物を検討した結果,秋季に採取したイセエビ類似種の幼生からはクラゲやサルパといったゼラチナス動物,春季に採取したイセエビ幼生からは魚類のDNAを検出することができた(図2)。

波及効果

  1. 海洋動物の仔稚の食性解明
  2. 人工餌料の開発

図2.消化管内から回収した18S rDNA分子とデータベースで探索した類似配列から描いた系統樹。消化管を用いたフィロソーマ幼生の種は括弧内に示した。
問い合わせ先:浅海増殖部 浅海生態系研究室(張)
nrifs-info@ml.affrc.go.jp

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