水産食品製造用の乳酸菌発酵スターターの開発
背景と目的
 食の安全・安心への志向の高まり,嗜好の多様化,加工残滓の有効利用等により,魚介類を原料とした天然発酵調味料(魚醤油)の製造量が急増している。しかし,発酵調味料の製造過程で,アレルギー様食中毒の原因となるヒスタミンの蓄積や,異常発酵や腐敗が起こることが知られている。このため,高品質で安全な発酵調味料を造るために,好塩性乳酸菌発酵スターター(種菌)の開発が望まれている。
 この研究では,水産発酵食品用のスターター開発を最終目的としている。発酵に適した乳酸菌株を収集・保存し,その中からヒスタミン蓄積の原因となる菌や腐敗・変敗菌の増殖を抑える菌株を選抜し,発酵スターターへ応用する。

成  果

  1. 水産発酵食品から分離した好塩性乳酸菌から増殖の良い株を選抜し,魚醤油の発酵スターターとして小規模(100kg)の接種実験を行った。試験菌のうち1株はヒスタミンの蓄積を阻害し,ロット間で品質が均一となり,スターターとして有望であった。
  2. ヒスタミン蓄積の原因菌としての好塩性乳酸菌を分離した。

図1.ヒスタミン生成菌,スターター候補株接種実験

図2.ヒスタミン生成乳酸菌の顕微鏡写真 Tetragenococcus halophilus と同定された。

波及効果

  1. 各種発酵用スターター株菌を収集・保存することで,様々な水産発酵食品に対応したスターターを供給できる。
  2. 発酵が安定し,生産量増加,安全性確保への効果が期待される。
  3. ヒスタミンの蓄積を抑えることで輸出促進が期待される。

問い合わせ先:利用加工部 食品安全研究室(里見)

nrifs-info@ml.affrc.go.jp

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