マサバの生殖周期に
おける内分泌的変化
背景と目的
 マサバはTAC対象の重要資源魚種であり,その効果的資源管理を行うためには繁殖や生態の十分な理解が不可欠である。しかし,天然サンプルの形態学的解析のみでは詳しい生殖周期やその変動のしくみを明らかにすることは困難である。本研究では,環境条件の設定と履歴の把握が可能な飼育魚を用い,また生理学的な解析を行うことにより,マサバの生殖周期と,これを調節するしくみを知ることを目的とする。

成  果

  1. ユニバーサル抗体(広い範囲の魚種で特定の物質に対する抗原抗体反応を起こすことができる抗体)を用いた免疫染色によって,マサバの生殖周期に伴う二種類の生殖腺刺激ホルモン分泌細胞(FSH細胞およびLH細胞)の動態が明らかとなった。
  2. イメージアナライザを使った画像解析で測定した脳下垂体中のFSH量は,卵黄形成後期をピークとする変動傾向を示し,一方LH量は産卵期にピークを示した 。
  3. 卵成熟を誘起するホルモンである17,20β-Pの血中量は,核移動期の卵を持つ個体のみが高い値を示した。一方,卵黄形成を誘起するホルモンであるE2の血中量は卵黄形成期を通じてやや高い値を示したが,核移動期卵を持つ個体ではさらに上昇した。
  4. これらの結果は,マサバの生殖周期が様々なホルモンが働き合うことによって成立していることを示し,今後変動機構を解析する上での有用な情報となる。

図1.二重免疫組織化学によって染色した産卵期マサバ脳下垂体の生殖腺刺激ホルモン分泌細胞。FSH細胞(青色),LH細胞(赤色)とも豊富に存在する。

波及効果

  1. マサバの詳細な生殖周期やその内分泌調節機構が明らかとなり,親魚量の管理をする上で,各種パラメーターの精度が向上する。
  2. マサバの再生産変動について,親魚の局面からの解析が可能となる。
協力機関 九州大学
問い合わせ先: 資源評価部 生理特性研究室 (清水昭)
nrifs-info@ml.affrc.go.jp

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