- 脊索動物のグループであるオタマボヤは,プランクトンとして黒潮周辺海域に多く分布している。これらは「ハウス(包巣)」と呼ばれる粘膜の網状構造物を体の外側に作り,これにからみついた小型の餌粒子を濾しとって食べるという特殊な摂食方法をとり,他の動物プランクトンより微小な有機物を食べられる(図1)。
- 資源となる浮魚類の仔稚魚がオタマボヤを食べている断片的な知見はあるが,高次の捕食者にどのように利用されているかは,未だ不明のままである。
- オタマボヤとマイワシのような浮魚類の仔稚魚と間の食べたり食べられたりの関係を詳しく調べ,黒潮周辺生態系内で基礎生産から浮魚資源に至る物質の動きの中におけるオタマボヤの役割を考察する。
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図1 オタマボヤの虫体とハウス。点線の範囲が粘液のハウスで包まれている。
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