資源変動下での
漁業管理方策に関する
経済的検討
背景と目的
  1. 海洋の生物資源は移動や変動が大きい。このため,生産金額や供給数量が不確実になりやすいので,生産者だけでなく加工流通業者や消費者も大きな影響を受けている。
  2. よって漁業管理研究では,不確実性をわかりやすく分析できる手法が求められている。しかし,欧米諸国で発達した分析手法は,そもそも漁業の社会的な位置づけや制度的な仕組みが異なるため,それをそのまま日本の漁業管理研究に利用してよいかどうかは不明である。
  3. そこで,日本と諸外国の漁業制度や施策の内容を比較することにより,日本の漁業管理研究における分析手法に必要な視点を明らかにする。
成  果
  1. 欧米等の国々では,政府がトップダウン的に総漁獲可能量(TAC)等の管理施策を決め,それを漁業者が競争的に利用・分配する制度が基本である。つまり,漁業管理は専ら政府の役割とされている。
  2. よって資源の移動や変動を考慮する際には,TAC設定等の基本となる資源動態モデルに不確実性を組み込むことが重要となる。
  3. 日本では,政府のみではなく,漁業者も漁業管理に参画している。たとえば資源管理型漁業における様々な自主的管理措置,TAC制度におけるTAC協定や,資源回復計画制度における漁業者協議会など,漁業管理には漁業者の協力が不可欠である(コ・マネジメント)。つまり日本では,漁業者との合意形成が,管理施策実施の必要条件となっている。 
  4. よって日本では,欧米等のように資源動態モデルに不確実性を組み込むだけでは不十分であり,漁業経営の不確実性に配慮したモデル,すなわち経営リスクの視点が大切である。
  5. 下図は,サンマの大型魚比率の不確実性への対応策としてTACの期中改訂を想定し,初期設定25万トンからの数量削減が経営リスク削減に与える影響を試算した例である。
波及効果
日本漁業の制度的特徴と水産資源の不確実性を前提とした漁業管理研究が促進される。
問い合わせ先: 水産経済部 漁業管理研究室 (牧野)
nrifs-info@ml.affrc.go.jp

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