漁業者になるために
必要なものは?
背景と目的
 わが国の沿岸で営まれる自営漁業は,世襲が一般的である。しかし,近年は後継者の確保が容易では無いことから,漁家と地縁血縁を持たない一般国民の中から広く漁業者を確保することが求められている(水産基本政策)。
 しかし,経営を親から譲り受けることができる漁家子弟とは異なり,一般の人が漁業者となるためには漁業権や船・漁具などの「経営資源」を新規に取得しなければならない。加えて,これら経営資源についての内容の把握や取得方法の確立が行われていないことから,現実に一般の人が漁業者となるには困難が伴っている。
 このような状況を改善する第一歩として,漁業経営に必要な資源の内容と,取得の難易度を明らかにした。
成  果
  1. 漁業を始めるために必要な経営資源(下表)は,漁業から生活,有形から無形まで広範囲にわたる。さらに,取得に際して金銭的な負担が生じるものや長期間を要するもの,個人の努力だけでは取得が困難なものや,家族の対応を要するものが存在する。
  2. 現時点では,国や地方自治体による支援事業が実施されており,漁業を始めるための情報提供や漁業体験の機会作りが進められている。また一部地域では,漁業技術を習得するための地元漁業者による研修,漁協や行政による経営資源取得のサポートも開始されている。
  3. しかし,漁業技術の習得方法の未確立や漁業権の固定化,共同体的性格の強い漁村生活などから漁業開始を断念する者が生じている。今後は,これから漁業を始めたい人々を受け入れる地域の対応,国や地方自治体による支援事業のあり方などについて検討を進めたい。
経営資源具体例金銭負担が
大きい
必要期間が
長い
個人対応が
困難
資格権利漁協組合員資格,漁業権--
漁業技術漁場探査,漁獲,漁獲物処理,操船-
漁業資材漁具,漁船,陸上作業資材--
生活環境住居,家族の生活整備-
人間関係対地元漁業者,対漁村住民--
注)営む漁業種類や漁業地区によって一部異なる部分がある。

波及効果
今後の漁業就業者の確保対策や,漁村の過疎化対策の立案に役立てることができる。
問い合わせ先:水産経済部 経営システム研究室(大谷・宮田)

nrifs-info@ml.affrc.go.jp

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