研究の動き
ミトコンドリアDNA中の16S rRNA遺伝子を用いたチリウニの判別
背景と目的
 最近はチリウニ(Loxechinus albus)輸入の増加に伴い,原産地を偽って,国産ウニとして市場に出回る恐れがある。
 そこで,ミトコンドリアのDNA(mtDNA)中の16S rRNAと呼ばれる遺伝子の領域を用いて,チリウニを国産ウニから確実に判別することを試みた。
成 果
  1. チリウニを含む7種のウニについて,mtDNAの16S rRNA遺伝子の部分配列を決定し,国際DNAデータベースに登録した。
  2. 系統樹によれば,各々のウニでの配列は互いに遺伝的に離れており,塩基配列の違いによってチリウニを判別できることがわかった。
  3. チリウニに特異的な塩基配列に基づいて作られたプライマー,すなわち遺伝子増幅の起点となる配列を用いて,チリウニに選択的なDNA分子増幅法(PCR)により,チリウニDNAのみを増幅・確認することができた。

図1.チリウニ選択的PCRによるDNA産物
チリウニのみに約250塩基のバンドが観察される(矢印)。
波及効果
 国産ウニに偽装されたチリウニを検出する技術として普及できる。
問い合わせ先:水産遺伝子解析センター(大原)
nrifs-info@ml.affrc.go.jp

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