研究の動き
高水温処理による安全・簡便なヒメマス偽オス作出技術
図1
図1.全メス生産のしくみ.
背景と目的
 サケマス類の全雌生産には,遺伝的にはメスでありながら,機能的にはオスであるXX型♂,いわゆる”偽オス”の作出が不可欠となる(図1)。近年,私たちはヒメマスを対象として,ふ化する直前から高水温に晒すことにより,もともとメスになる魚から偽オスを作り出せることをサケ科魚類ではじめて明らかにした。本研究では,これまでの研究を発展させて,処理期間を大幅に短縮するとともに,雄化率・生残率をともに高めて,生産現場で活用できる偽オスづくりの実用技術の開発を目指した。
図2

図2.高水温処理における試験区別生残率および雄化率.

成 果
  1. 予め,すべてが雌として育つヒメマスを用意して,実験に用いた。
  2. ふ化開始直前から18℃で1週間,高水温に晒すことにより,90%以上の雄化率・生残率が得られた(図2)。
  1. 開始時期が1週間遅れると雄化率は顕著に低下した。
  2. 処理温度が低いほど,雄化率も低下したが,14℃-1週間処理でも,46%の雄化率が得られた。
波及効果
  1. 環境や魚に優しい,実用レベルの偽オス作出技術が開発された。
  2. 全メスを,安全かつ簡易に,大量に作出すること可能となり,生産効率の向上に繋がると期待される。
問い合わせ先:内水面研究部 育成生理研究室(東)
nrifs-info@ml.affrc.go.jp

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