研究の動き
ウグイは適度に荒れる川が好き
背景と目的
 ウグイは,比較的流れの速い瀬の砂礫に卵を産みつけることが知られている。親魚の産卵に適した河川環境の保全に役立てるため,産卵場所の選択性を科学的に明らかにする。
成 果
  1. ウグイの産卵条件を、自然に近い状態で調査できる室内実験装置を初めて開発した。
  2. 産卵が誘発された雌の数は,中流速(30cm/秒)と高流速(50cm/秒)に比べて低流速(5cm/秒)では有意に少なかった(図1)。
    図1 図1. 流速についての度数分布図。各流速(低,中,高)に対して、同じ魚を二度用いない,独立した観察をそれぞれ11, 22, 7回行った。たとえば、中流速で産卵した雌が1匹の場合は,22回の中流速の観察うち7回あったことをグラフでは示している。
  3. 雌は小基質(礫の直径は約8mm)と大基質(礫の直径は約70mm)よりも中基質(礫の直径は約40mm)を選択し,より高い頻度で産卵した(図2)。
    図2 図2. 三種類の礫サイズに対して、水槽内の3匹の雌のうち何匹産卵したかの度数分布図。
  4. 野外調査の結果と合わせて検討したところ、ウグイの繁殖には,流速と産卵する基質(礫)に関して適切な条件があること,掘削などの河川改修は産卵に適した一時的な早瀬の形成を阻害しウグイ資源の再生産を低下させることが考えられた。
波及効果
 得られた知見をもとに,産卵場を人工的に造成できる。また,個体群の存続性について河川改修の影響評価を行うことも可能になる。
問い合わせ先: 内水面研究部 生態系保全研究室(箱山)
nrifs-info@ml.affrc.go.jp

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