研究の動き
相模湾沿岸砂浜域における底魚類の食物連鎖
図1
図1.相模湾砂浜浅海域(水深10-20m)における主要底魚の胃内容物組成(個体数%)。棒グラフの上の数字はサンプル数を示す。

図2
図2.相模湾砂浜浅海域における主要底魚の炭素窒素安定同位体比。冬期の一部魚種(アラメガレイなど)を除いて,表在性生物食者,埋在性ベントス食者を問わず,ヒラメを含めたほとんどのプロットが,浮遊性微細藻類(植物プランクトン)ではなく底生微細藻類を起点とした位置にある。

図3
図3.ヒラメ種苗の放流後0日(○),4日(▲),11日(◇),40日(-)の炭素窒素安定同位体比(■は天然魚の値)。値の移動速度から,馴致が約1週間であると推定された。

背景と目的
 砂浜浅海域におけるヒラメ等の効果的な資源培養を実現するため,底魚類の餌生物について,顕微鏡観察と安定同位体比*の両面から検討し,魚類群集の生産を支えている一次生産者を解明する。
 砂浜浅海域における食物網の中心をなす生物群であるアミ類の種組成と季節的消長,およびヒラメとの種間関係を明らかにする。
*重さの異なる元素(炭素、窒素の同位体の比を計測することによって、食物起源と食物段階を推定することができる。
成 果
  1. 相模湾砂浜浅海域の底魚類にとって,植物プランクトンよりも底生微細藻類が重要な一次生産者であることが示された(図12)。
  2. ヒラメ幼魚によるアミ類に対する食物選択性が,種レベルで明らかとなった。さらにヒラメ種苗は放流後,アミ類に対する摂食を通じて約1週間で生息環境に馴致することが明らかとなった(図3)。
波及効果 
  1. ヒラメ稚幼魚を含めた砂浜浅海域の魚類生物生産における底生微細藻類の重要性が明らかになった。
  2. アミ類の季節的消長に合わせた効率的なヒラメ種苗の放流事業の展開につながる。
問い合わせ先:浅海増殖部 浅海生態系研究室(片山)
nrifs-info@ml.affrc.go.jp

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