研究の動き
アワビ類の健康診断方法の開発
図1
図1.クロアワビからの採血
背景と目的
 クロアワビなどの暖流系アワビ類の資源が減少してきている。アワビを増やす方策を立てるためには,まずアワビがどのような健康状態にあるのかを知る必要があるが,そのような方法は開発されていない。
 そこで,アワビの健康状態を数値化できる生理・生化学的手法を開発し,健康診断を可能にすることを目的とした。
成 果
  1. アワビから血液を採取して分析する手法を開発し,個体を殺さずに生体成分の分析を行うことを可能にした(図1)。
  2. 異なる餌料で飼育したクロアワビの血中総タンパク質濃度の変化を半年間にわたり調べた。好適餌料(ワカメ)ではタンパク質濃度がほぼ維持されたが,嗜好性の低い餌料(ホソジュズモ)ではタンパク質濃度が減少し死亡する個体もあったことから、血中総タンパク質濃度がクロアワビの健康診断を行う一つの指標になることが示唆された(図2)。
  3. 血液から卵黄タンパク質を検出することができた。その際,血中の卵黄タンパク質は産卵が確認されたワカメ給餌区のアワビでは検出できたが,産卵しなかったホソジュズモ給餌区のアワビではほとんど検出できなかったことから,血液の分析で成熟度が判定可能であることが示唆された(図3)。
図2
図2.ワカメまたはホソジュズモを給餌したクロアワビの血中総タンパク質濃度の変化
図3
図3.ワカメまたはホソジュズモを給餌したクロアワビの血中の卵黄タンパク質濃度の変化
波及効果
  1. 天然海域のアワビ類の栄養状態や成熟度を血液検査により判定することが可能になる。
  2. アワビ類の再生産に最適な環境条件を生理学的な側面から解析するツールとして利用可能。
問い合わせ先:浅海増殖部 生物特性研究室(青野)
nrifs-info@ml.affrc.go.jp

PDF版へ

研究の動きへ

top中央水産研究所日本語ホームページへ