研究の動き
マアナゴの仔魚(のれそれ)の沿岸域への回遊経路
背景と目的
 マアナゴは沿岸漁業での重要種であり,特に内湾域で高い生産量がある。一方,その漁獲量は短期的に大きく増減し,長期的には全国的に減少している。伊勢・三河湾では資源回復計画対象種に指定され,漁況予測技術の開発が重要な課題となっている。しかし産卵場や沿岸域に来遊する以前の葉形の仔魚(のれそれ、図1)の生態が全く不明であり,加入量の変動予測は現状では困難である。
 そこで,本種の葉形仔魚の沖合から沿岸域への回遊過程を把握し,これらの沿岸域への来遊量の予測に結びつく知見を得ることを目的として研究を行った。
図1図1.のれそれ(透明な葉形仔魚)
図2
図2.沖合域でのマアナゴ仔魚採集場所

図3
図3.来遊経路の想定図
成 果
  1. マアナゴ仔魚が沿岸域に来遊するには、16℃以下の低水温が条件となることが明らかとなった。
  2. マアナゴ仔魚の沖合での水平分布の中心は、東シナ海では黒潮の中心付近、太平洋では黒潮の陸地側であることが明らかとなった(図2)。
  3. 鉛直方向にみると、成長にともなって浅い高水温層から深い低水温層に移動する可能性が示された。
  4. 飼育実験の結果、仔魚の比重は成長にともなって高くなることが明らかとなった。
  5. 以上の結果を総合すると、仔魚は体の比重調整により高水温の海域(比重=低)から低水温の海域(比重=高)へと向かうメカニズムを持つものと考えられ、図3に示す回遊経路が想定された。
波及効果
 マアナゴ仔魚の沿岸域への来遊メカニズムが明らかとなり、来遊量水準の予測を行うための基礎ができたことから、漁況予測技術開発への応用が期待される。
研究協力機関:九州大学,神奈川県水産技術センター
問い合わせ先:浅海増殖部 資源増殖研究室(黒木)
nrifs-info@ml.affrc.go.jp

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