研究の動き
不確実性下での漁業管理手法の高度化
背景と目的
 漁業における「漁業者間の合意形成」については既に多くの研究が行われている。自由競争下では,お互いの利得は減少し,資源も減少する。したがって協力関係を構築して協力解に移行することが,資源管理および魚家経営の両面から望ましい。これは一般的なロジスティックモデルおよび漁具能率に関するモデルにおいて数理的に証明されている
 現在のTAC制において合意形成上もっとも大きな問題は,公的機関の研究者が算定したABC値と漁業者の要求する漁獲量との乖離である。その原因の多くは資源変動の不確実性に起因しているため,公共財と私有財という観点に立ってゲーム理論的アプローチを試みた。
成 果
  1. 公的機関の研究者をプレイヤーA,漁業者をプレイヤーBとする。漁獲量をC,長期的な資源の損失関数をd(C),漁獲による短期的な利得関数をp(C)とおく。Aは公共財である資源を漁業,関連産業,および国民に最も有効に供給できるようにABC値を算定する。したがってd(C)が最小となるABC値を算定する。一方,Bは公共財である資源を漁獲によって私有財化・現金化したいわけであるから,資源変動の不確実性を考慮すればp(C)を最大化する方策をとる。
  2. AとBの最適戦略が異なるのだから合意形成は困難であるが,例えば妥協案としてp(C)-d(C)を最大にする方策が考えられる。ただし,その場合においても不確実性を加味すると,合意形成は困難となる。
図1
図1. 公共財の損失関数と漁業の利得関数
図2
図2. 不確実性を加味した損失関数と利得関数

波及効果
 実際の漁業において公共財の損失関数と漁業の利得関数を計算することにより,不確実性の程度や合意形成の可能性を数値的に評価することができる。
問い合わせ先:資源評価部 数理解析研究室(赤嶺)
nrifs-info@ml.affrc.go.jp

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