研究の動き
なぜ,太平洋の東西で魚種交替は同期したか?
図1
図1. カタクチイワシ仔魚とマイワシ仔魚の成長速度と水温の関係
背景と目的
 カタクチイワシとマイワシの優劣が数十年周期で入れ替わる「魚種交替」は,気候変動と対応する。北西太平洋では,高水温時期にカタクチイワシ,低水温時期にマイワシが繁栄してきた。これまでに,北西太平洋のカタクチイワシ仔魚とマイワシ仔魚の成長にとっての最適水温が異なることを実証し (図1),仔魚期の生息水温が変動するため魚種交替が起こると考えた (成長速度最適水温仮説)。
 しかし,太平洋の東西間では,同じ時期に高水温・低水温の関係が逆にもかかわらず,太平洋の東西で,魚種交替は同期していた。
 そこで,わが国太平洋岸でのカタクチイワシとマイワシの産卵嗜好水温を調べ,この結果をカリフォルニア海流域における結果と比較した。
図2
図2. カタクチイワシとマイワシの産卵嗜好水温様式
成 果
  1. カタクチイワシの産卵嗜好水温様式は高水温側になだらかな丘のような分布をとったのに対し,マイワシの産卵嗜好水温様式は低水温側に針山のような分布をとった (図2)。
  2. この高温性かつ広温性のカタクチイワシと低温性かつ狭温性のマイワシの産卵水温の関係は,過去に同じ手法で調べられたカリフォルニア海流域におけるカタクチイワシとマイワシの関係とは実に対照的であった。例えば,日本のマイワシの産卵水温様式は,カリフォルニア沖のカタクチイワシのそれに酷似していた。
  3. 太平洋の東西で同時期に水温レジームはしばしば逆であった。しかし,カタクチイワシとマイワシの適水温特性も逆であるために,結果として魚種レジームは同期した,というシナリオが少なくとも理論上あり得る。
波及効果
  1. 魚種交替の生物過程の解明へ貢献する。
  2. 特に,異なる海洋生態系における魚種交替の比較,統合化・一般化へとつながる。
問い合わせ先:資源評価部 生態特性研究室(高須賀)
nrifs-info@ml.affrc.go.jp

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