研究の動き
黒潮周辺海域の尾虫類の生態とマイワシ仔稚魚
背景と目的
 マイワシやカタクチイワシの消化管内容物に,カイアシ類と並んで尾虫類がしばしば出現する。尾虫類は,特徴的な摂餌装置である「ハウス(包巣)」を身体の外側に作り,一般的には10μm以下の小型の粒子のみを餌として濾し取る。
 黒潮周辺海域における生態系モニタリング調査や卵稚仔調査による試料を利用し,これらの生態,およびマイワシ仔稚魚の餌料としての役割について知見を得る。
成 果
  1. マイワシ後期仔魚が、従来報告のあった尾虫類の虫体に加え、摂餌装置である「ハウス」をも餌としていることを確認した。
  2. モニタリング調査により、黒潮周辺海域ではオナガオタマボヤ(Oikopleura longicauda)が周年優占すること,黒潮流軸付近ではFritillaria pellucidaの濃密なブルームが形成されることが明らかになった。
  3. オナガオタマボヤのハウスは、より大型の餌粒子(>10µm)を取り込むことが可能である。黒潮周辺海域において,植物プランクトンのブルームを起こす大型の珪藻が餌となっていることが実際に確認された。
図1 図1.Video Plankton Recorderで撮影されたOikopleura sp.
およそ点線の範囲が粘液で包まれ,「ハウス」を作っている
図2
図2.マイワシ後期仔魚(28.2mmSL)の胃内容物ハウスを円で示す
図3
図3.オナガオタマボヤ(Oikopleura longicauda)の消化管内容物珪藻を矢印で示す
波及効果
  1. 尾虫類の重要性について認識が深まり,プロジェクト研究等の複数の課題による,分析ツールや飼育装置の開発,沖合域での生態研究につながった。
  2. カイアシ類とは異なる特性を持つ動物プランクトンとして,今後作成される生態系モデルの高度化への貢献が期待される。
問い合わせ先:海洋生産部 低次生産研究室(日高)
nrifs-info@ml.affrc.go.jp

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