研究の動き
沈降粒子とともに移動する放射性核種の挙動および
人工放射性核種の挙動に影響する微生物に関する研究
背景と目的
 日本海盆で沈降粒子の捕集実験を行い、好気的環境下で沈降粒子とともに移動し除去される放射性核種(210Pb:天然放射性核種、137Cs:人工放射性核種)を調べた。
 海洋の好気的環境下で人工放射性核種を粒子化する微生物について調べた。特に99Tcに作用する微生物(細菌)について、その存在と粒子化の過程を調べた。
成 果
  1. 日本海盆を粒子とともに深海へ沈降する210Pbと137Cs量は、ともに春季で多く夏季に小さい。
  2. 210Pbの収支から、水深1000m以深の日本海海盆では、西側(ロシア側)の沈降粒子の一部が東側(日本側)へ水平移動していることがわかった(図1の「水平移動量(西側粒子)」)。
  3. 同様に,放射性核種(210Pbと137Cs)の一部もその粒子とともに西側から東側へ水平移動されていることが解った。その量は,東側で観測された鉛直輸送量の約3割であった。
  4. 培養実験の結果、海洋中に99Tcを蓄積する好気的細菌が存在することがわかった。
  5. その中でもHalomonas sp. Tc-202株は、液体培地中に添加した99Tc の54%を高回収する細菌であることがわかった(図2)。

図1.日本海東西における210Pbの収支

この分の99TcがTc-202株により菌体とともに 不溶性画分に回収された。

図2
菌体(-)非加熱加熱処理
100℃、5分


菌体(+)

図2.Tc-202株による液体培地からの99Tc回収
波及効果
  1. 日本海で投棄された放射性廃棄物が、どのように日本海深海汚染されていくのかを定量的に評価することが可能となる。
  2. 好気的条件下で人工放射性核種を蓄積する微生物の発見は、放射性廃液や汚染海域から放射性核種を回収する新技術開発の端緒となる。
問い合わせ先:海洋生産部 海洋放射能研究室(皆川、藤本)
nrifs-info@ml.affrc.go.jp

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