研究の動き
生産量削減に伴うマグロ類の価格水準予測
背景と目的
 マグロ類は,わが国の家庭内における魚種別の平均購入額で長年連続して1位にとどまるなど,水産物消費に重要な地位を占めている。また,EU等でも缶詰を主体とした需要が増大する等,世界的な需要の高まりを背景に漁獲量が増加している。一方で,マグロ類資源の減少を受けて漁獲規制に向けた動きも強まっている。
 このため,本研究では,マグロ類の漁獲規制が行われた場合,わが国におけるマグロ類の価格がどのように変化するかをシミュレーションした。
成 果
  1. わが国のマグロ類の価格を,世界の生産量やわが国の所得水準等で説明する価格関数を推定した(表1)。生産量の減少や所得の増大等が価格上昇をもたらす傾向にあることがわかる。
  2. この価格関数を用いて,世界の生産量が1980年~2004年の平均値レベルまで削減された場合の価格変化をシミュレーションした(表2)。
  3. クロマグロとメバチは,生産量の削減率に比して価格上昇率が高く,削減の影響が価格に大きく表れるとの結果が得られた。逆にキハダマグロは,削減率に比して価格上昇率が最も低く,生産量削減の価格に対する影響は他のマグロ類よりも少ないとの結果が得られた。
表1.推定された価格関数




lnP=a+blnQ+clnY
決定係数0.749、DW1.82
Q:世界生産量、
Y:1人当り可処分所得
a=11.468,b=-0.753, c=0.404


lnP=a+blnQ+clnY
決定係数0.670、DW1.95
Q:世界生産量、
Y:1人当り可処分所得
a=2.758,b=-0.867,c=1.302


lnP=a+blnQ+clnK+dlnAX
決定係数0.593、DW2.18
Q:世界生産量、
K:キハダ缶詰生産量、
AX:ビンナガ輸出価格
a=8.479,b=-0.141,
c=-0.128, d=0.292
表2.生産量削減による価格変化のシミュレーション
クロマグロメバチキハダ
2004年世界生産量61,516408,2421,309,394
2004年価格(円/kg)2,557982742
世界生産量削減値50,000320,0001,000,000
削減値の根拠1980~2004平均値に近似
削減率-18.7%-21.6%-23.6%
その時の価格(円/kg)3,2161,214824
価格上昇率25.8%23.6%11.1%
波及効果
 マグロ類の最大持続生産量(MSY)が明らかになり,科学的な根拠に基づいた漁獲量規制が実施される場合に,その生産量に基づく価格変動のシミュレーションが可能となる。
問い合わせ先:水産経済部 動向分析研究室(玉置)
nrifs-info@ml.affrc.go.jp

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