加工食品の原料魚種判別技術の開発

利用加工部 食品バイオテクノロジー研究室

背景・目的
  1. 魚介類は形態的に似た種が多く、特に切身や加工食品では、外見で種や産地を識別することは困難である。
  2. 種や産地は価格に反映されており、消費者が安心して商品選択するためには種判別や産地の推定手法の開発が必要である。
成果
  1. 国産マアジと近縁種の大西洋産ニシマアジのミトコンドリアDNA全塩基配列を解析した。その結果制限酵素断片長解析 (PCR-RFLP)法により両種の判別技術を開発した(図1、2)。
  2. スズキ、タイリクスズキおよびナイルパーチのミトコンドリアDNAの一部配列を解析し、3種を判別するPCR-RFLP法を開発した。
  3. マグロ属7種(太平洋産クロマグロ、大西洋産クロマグロ、ミナミマグロ、メバチ、キハダ、ビンナガ、コシナガ)のミトコンドリアDNA全塩基配列を解析した。
  4. タラバガニやアブラガニ等甲殻類7種、ウニ2種(アメリカオオキタムラサキウニ、ホクヨウオオバフンウニ)のミトコンドリアDNAの一部配列を解析した。

図1  マアジ(左)とニシマアジ(右)ニシマアジの方が頭部がやや大きいが、外観は非常に類似している。


図2 DNA断片の電気泳動像
魚肉由来のミトコンドリアDNAを増幅し、制限酵素で分解し、電気泳動法で検出した。ニシマアジとマアジでは、DNAの断片の長さが異なることで判別可能。

波及効果

  1. マグロ属の近縁種、タラバガニとアブラガニ、スズキとナイルパーチなど価格差が大きく消費者に優良誤認となる偽装品の鑑別に利用できる。
  2. あじの干物、かまぼこ、缶詰等の加工食品に用いられている原料魚種の表示が正しく行われているかを検証するための方法として利用できる。
  3. これらの成果は独立行政法人農林水産消費技術センターにおけるJAS法に基づく品質表示の点検や税関における輸入品検査に活用されている。
連絡先

  山下 倫明 TEL : 045-788-7665
nrifs-info@ml.affrc.go.jp

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