トゲクリガニにおける麻痺性貝毒の蓄積能の把握

利用加工部 食品安全研究室
背景・目的
  1. 当研究室では、麻痺性貝毒により二枚貝が毒化した海域で、トゲクリガニなど肉食性の高いカニ類が毒化することを明らかにした。
  2. それらの調査結果をもとに、二枚貝を捕食する生物についても麻痺性貝毒に関する規制値が厚生労働省により定められた。
  3. 毒化生物の一つであるトゲクリガニの麻痺性貝毒成分蓄積能を定量的に把握するため、毒化したムラサキイガイを餌料としたトゲクリガニの飼育実験を行った。
成果
  1. トゲクリガニは摂取した麻痺性貝毒成分の約35%を肝膵臓部(図1)へ蓄積した(図2)が、筋肉部にはほとんど毒成分を蓄積しない。
  2. 有毒餌料の摂食量と蓄積毒量の相関が高いことから(図2)、毒成分の蓄積能力に大きな個体差はないと考えられる。

図1 トゲクリガニ (Telmessus acutidens)の肝膵臓部矢印で示した部分が肝膵臓部。かにみそとして食べられている。

図2 有毒ムラサキイガイの摂食量とトゲクリガニ肝膵臓中の毒量の関係
波及効果
  1. 二枚貝捕食者に麻痺性貝毒規制値が設定されたことで、広範に調査が進むことが期待され、安全・安心な水産食品の供給体制が築かれる。
  2. 毒成分の蓄積率や体内分布は、今後必要とされるトゲクリガニの毒化モニタリングを効率的に行うために有効な情報となる。
連絡先

  及川 寛・里見 正隆・矢野 豊 TEL : 045-788-7670    

協力機関

 福島県水産試験場


nrifs-info@ml.affrc.go.jp

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