多様な魚種において2種類の生殖腺刺激ホルモン分泌細胞を同定できるユニバーサル抗体の開発

資源評価部 生理特性研究室
背景・目的
  1. 生殖腺刺激ホルモン(FSH及びLH)はサケ科魚類以外での研究は著しく遅れており、多くの重要産業種において、生殖内分泌中枢の活性を適切に評価する方法がなかった。
  2. 2種類の生殖腺刺激ホルモンのそれぞれについて、様々な魚種の生殖腺刺激ホルモン分泌細胞の免疫組織化学的同定が可能なユニバーサル抗体を開発し、生殖内分泌中枢の活性評価を可能にすることを目的とする。
成果
  1. FSH、LHのそれぞれについて、魚種間で共通性の高いアミノ酸配列領域を選定し、合成ペプチドに対する抗体を作成した。
  2. これらの抗体は、サバ類、アジ類、サンマ、タイ類、カレイ類等の様々な魚種の脳下垂体において、2種類の生殖腺刺激ホルモン分泌細胞をそれぞれ免疫染色することができ、ユニバーサル抗体として使用可能なことが明らかとなった(図1)。
波及効果
  1. 多様な重要魚種において、2種類の生殖腺刺激ホルモン分泌細胞の同定が可能となる。
  2. これによって、多様な魚種において、生殖内分泌中枢の活性評価が可能となり、再生産パラメーターの評価がより適切になる。
  3. 将来的には、対象魚の現在の生殖活性のみならず、過去及び近い将来の生殖活性をも評価できる可能性がある。

図1 様々な棘鰭上目魚類の脳下垂体において免疫組織化学的に同定されたFSH細胞(青色)とLH細胞(赤色)(拡大)
連絡先

 清水 昭男 TEL : 045-788-7644
nrifs-info@ml.affrc.go.jp

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