温暖化がプランクトン生態系に及ぼす影響の評価と予測技術の開発

海洋生産部 低次生産研究室
背景・目的
  1. 温暖化が水産業に及ぼす影響の評価と予測技術の開発は急務の課題である。
  2. 地球温暖化は餌料となるプランクトンへの影響を通じて浮魚類の資源変動と関わる可能性があり、プランクトン生態系の変動予測が望まれる。
  3. 温暖化が黒潮~親潮域における多獲性浮魚類の餌料生産および生態系に及ぼす影響予測を可能とする三次元生態系モデルの構築を目的とした。
成果
  1. 亜寒帯水域に適合した一次元生態系モデル(NEMURO)を改良、さらに物理モデルと結合し、亜寒帯亜熱帯汎用 (eNEMURO)3次元高解像度低次生態系モデルを開発した。
  2. 既往生態系モデルでは不可能であった亜寒帯水域における大型植物プランクトンの卓越と亜熱帯水域における小型中型植物プランクトンの卓越が再現可能となった(図1)。
  3. モデル実験の結果、黒潮域では移流効果が強く、遠州灘沖で蛇行が発達して黒潮内側域の現存量が増大した時には高濃度域が流れに沿って続流まで分布することが示された。

図1 1997年の代表点K (143oE,35oN) における各コンパートメント(0-50m平均値)の現存量変動。黒潮流路の変動により、点Kは期間前半に亜熱帯域、中盤は亜寒帯域、後半は亜熱帯域に位置していた。旧NEMURO(上)、eNEMURO(下)による推定値。eNEMUROでは点Kが亜熱帯水域に位置した際の小型(PS)中型(PM)植物プランクトンの卓越と亜寒帯水域に位置した際の大型植物プランクトン(Plc)の卓越が再現されている。
波及効果
  1. 日本周辺のローカルな水域における海洋の物理構造の変動予測結果が提示された時にそれらの変動に対応するプランクトン生態系変動予測に貢献する。
  2. 魚モデルとの結合により、温暖化が産卵域から策餌域における餌料生物生産への影響を通じてイワシやサンマ等の浮魚資源に及ぼす影響の評価が可能となる。
連絡先

 中田 薫 TEL : 045-788-7652
nrifs-info@ml.affrc.go.jp

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